簡単 染み抜き クリーニング方法

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油溶性のシミ・汚れを落とすには?正しい対処法を解説

 

オイル


油溶性のシミに正しい対処ができていますか?衣類についた油分が多い「油性のシミ」のシミ抜きが甘いと、あとから油分だけが残って「油ジミ」や「変色ジミ」ができてしまうこともあるんです。

大切な衣類に変色ジミができてしまう前に、きちんとシミ抜きや洗濯をして油溶性汚れをしっかり落としておきましょう!

ここでは油溶性の汚れの特徴や、シミ抜き等の方法について、また油溶性汚れを扱う場合の注意点等も詳しく解説していきます。

油溶性の汚れ・シミとは?特徴を知ろう

油溶性のシミ・汚れ(油性の汚れ)とは、様々な汚れの中でも次のような性質を持つ汚れのことです。

  1. 成分の多くが油分、油性成分でできている
  2. 油に溶けやすい(石油系溶剤などで溶解できる)
  3. 水には溶けない、溶けにくい
  4. 水分は少ない、ほとんど無い

こんな汚れは油性のシミ

私達の日常生活の中では、次のような汚れ・シミは「油溶性の汚れ(油性の汚れ)」として分類できます。

  • 皮脂の汚れ
  • オリーブオイルのシミ
  • ごま油のシミ
  • マヨネーズのシミ
  • バターの汚れ
  • クリームファンデーションのシミ
  • 自動車排気ガスによる汚れ など

油性汚れはバター等の動物性脂肪だけでなく、オリーブオイル・サラダオイル等の植物性油の成分、また機械油等の鉱物油の成分も含まれます。また私達の肌から分泌される皮脂も油性の汚れのひとつです。

混合性の汚れとの違いに注意

「混合性の汚れ」とは、油分だけでなく水分も豊富に含む汚れのことを言います。油溶性の汚れと水溶性の汚れ、両方の性質を持っている汚れです。

【混合性の汚れの例】

  • ラーメンのスープ
  • カフェオレの汚れ
  • 母乳のシミ
  • ドレッシングの汚れ など

混合性の汚れのシミ抜きでは、油溶性汚れのシミ落としをやった後で、さらに水溶性の汚れ落としも行わなくてはなりません。汚れの原因をキチンと見分けて、正しく対処することが大切です。

 

油溶性のシミや汚れの落とし方は?

油溶性のシミ・汚れの対処方にはいくつかの方法がありますが、ここでは丈夫な洋服(一般的な普段着)向けのものと、水洗い等ができないもの向けの対処法をご紹介します。

丈夫な服・普段着の場合

Tシャツや運動着・作業着など、丈夫で洗濯機洗いができる普段着についた油溶性汚れの対処法です。

用意するもの

  • クレンジングオイル(安価なものでもOK)
  • 食器用洗剤(液体タイプ)
  • 洗濯用洗剤(酵素入りなどが理想的)

クレンジングオイルはファンデーション等の油系の汚れを分解するのに優れています。クレンジングオイルで油分をしっかり溶かしてから、食器用洗剤等で残った汚れを浮かして洗い流す方法です。

シミ・汚れとりの手順

  1. 衣類が乾いている状態で、シミがある部分にクレンジングオイルを染み込ませ、軽く指で揉み込みます。
  2. 40℃前後のお湯を少量加えて、もう一度指で揉み込み、オイルを十分に乳化させます。
  3. 40℃前後のお湯でよくすすぎます。
  4. 食器用洗剤の原液を少量シミがある部分につけて、指でやさしく揉むように洗います。
  5. 40℃前後のお湯でよくすすぎます。
  6. シミが取れていたら、洗濯用洗剤を使って洗濯機で全体を仕上げ洗いします。シミが残っている場合には、1.~4.をもう一度繰り替えしてみましょう。

※牛乳、卵、血液などが含まれる油溶性シミの場合には、40℃等の「お湯」をシミ抜き・洗濯に使用するのはやめましょう。タンパク質が熱で固まってしまい、取れにくい汚れになってしまいます。冷水でシミ抜きを行ってください。

水洗いできない服の場合

ご家庭での水洗いができない服に油溶性汚れがついた場合には、揮発油である「ベンジン」を使って汚れを溶かして落とします。

用意するもの

  • ベンジン(シミ抜き用のもの。回路用はNG)
  • 柔らかい布(汚れて良いもの)
  • タオル(汚れて良いもの)

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下準備

※窓を開けるか換気扇を回します。ベンジンは気化しやすく刺激が強いので、密閉された空間では使用してはいけません。

※ストーブ、マッチ、ライター、コンロ等の火器類の使用はすべて中止します。ベンジンは引火性なので、甚大な家事が起きる恐れがあります。

シミ・汚れとりの手順

  1. 下にタオルを敷いてから衣類を置いておきます。
  2. 柔らかい布をベンジンでしっかり濡らしてから、シミがある部分を布で優しく叩いていきます。
  3. 溶けた汚れは下のタオルに落ちたり、布に溶けて移ったりします。タオルや布を常に動かして、キレイな面で汚れを吸い取るようにしましょう。
  4. シミが十分に取れたら、もう一度布をベンジンで濡らして、濡れた部分をよく広げて境目がわからなくなるようにしておきます。
  5. ハンガー等にかけて乾かします。乾かしている間もベンジンが空気中に飛ぶので、窓は開けておきましょう。

※ベンジンを使うと、衣類によっては色落ちや変色が起きることがあります。裏側等の目立たない場所でテストを行うことをおすすめします。

※ベンジンで濡らした布で強くこすったり叩いたりすると、布の表面が白っぽくなったり毛羽立ってしまいます。強い摩擦でダメージをかけないように、優しく取り扱いましょう。

 

油溶性のシミは落ちないこともある?

次のような油溶性のシミは、ご家庭のシミ抜きや洗濯では落とすことができません。

洗濯で残った油シミ

洗濯・乾燥・アイロン等が繰り返された汚れは、繊維にしっかり定着してしまっているため落とすのが難しいです。

変色しているシミ

油溶性の汚れが長期間残っており、少しずつ酸素と結びついてできた酸化による変色シミです。これを取るには強力な漂白剤等を使わなくてはなりませんが、染料も一緒に剥がしてしまう(色抜けする)ので、プロの手で対処してもらう必要があります。

水洗いできない服にできた広範囲のシミ

ベンジンは家庭用の溶剤であり、汚れを溶かし出す力はそこまで強くはありません。ベンジンで汚れに対処できるのは、汚れの大きさが5ミリ~1センチ弱程度のもので、なおかつ色素が少なめのものに限ります。

汚れの大きさが2センチ以上あるもの、広範囲に汚れているものなどは、ベンジンだけで落とし切ることはできません。

縫い目をまたいだ汚れ・シミ

汚れが縫い目をまたいでいる場合(布を継いである部分にまたがっている場合)、油溶性汚れが糸にまで染み込んでしまっている可能性が高いです。

後から酸化ジミや脆化などが起こる可能性が高いので、高級衣料等の大切な洋服の場合、早めにプロの手でシミ抜きをしてもらった方が安心です。

上のようなシミについては無理にご家庭でシミ抜きを続けず、早めにプロのクリーニング店に相談をしましょう。

 

おわりに

近年では洗濯用洗剤の洗浄力が上がり、軽い皮脂汚れなどは通常の洗濯でも随分キレイに落ちるようになりました。しかし油分の多い食べこぼしのシミ等は、普通に洗濯機で洗うだけでは取れません。

クレンジングオイルやベンジン等を上手に使って、キチンと油汚れを分解する習慣をつけましょう。また油溶性汚れは時間が経つほど取れにくくなっていくので、早めにシミ抜きや洗濯をすることも大切ですよ!

水溶性汚れ・シミをキレイに!正しい対処法とは?

汗をかいたシャツ

水溶性汚れは、私達の日々の生活の中でもとてもポピュラーな汚れです。しかし水溶性汚れにまちがったシミ抜き方法や洗濯をしてしまって「汚れが落ちない!」と悩んでいる人、実は意外と大勢います。

衣類などについたシミ・汚れをキチンと落とすには、汚れの性質に合わせたシミ抜きや洗濯をすることが大切なんです。

ここでは水溶性の汚れ・シミについて、その特徴や汚れの落とし方を解説していきます。

水溶性のシミ・汚れとは?特徴を知ろう

水溶性のシミ・汚れ(水性の汚れ)とは、様々な汚れの中でも次のような性質を持つ汚れのことです。

  1. 成分の多くがが水分(水、H20)で構成されている
  2. 水に溶けやすい
  3. 油や溶剤等には溶けにくい

こんな汚れは水性のシミ

私達の日常生活の中では、次のような汚れ・シミが「水溶性の汚れ」として分類できます。

  • 汗の汚れ
  • お茶のシミ
  • コーヒーや紅茶のシミ
  • お酒(日本酒)のシミ
  • ワインのシミ
  • ジュースのシミ など

水分がとても多く液状のもので、なおかつ油分がほぼ無いものの汚れ…特に「飲み物の汚れ」等が目立ちますね。ただし、牛乳や母乳等の乳脂肪分が多いものは「混合性の汚れ」として別に分類されます。

混合性の汚れとの違いに注意

「混合性の汚れ」とは、水分も油分も含んでいるシミ・汚れのことです。混合性の汚れは水分も多いのですが油溶性の汚れと同じ性質も持っているので、両方の性質の汚れを分解していかなくてはなりません。

【混合性汚れの例】
  • ドレッシング
  • ラーメンのスープ など

水溶性の汚れと混合性の汚れでは、対処法がやや違ってしまうので要注意。原因をキチンと特定することが大切です。

 

水溶性のシミ・汚れの落とし方

水溶性のシミ・汚れは水に溶けやすいので、その場ですぐに水洗いをすれば比較的カンタンに汚れを落とすことができます。しかし少し時間が経ってしまうと、水だけでは落ちないことも。このような場合には、洗剤+水洗いで汚れを落としていきましょう。

丈夫な服の場合

Tシャツなどの普段着服に付いた水溶性汚れ・シミの対処法です。

用意するもの
  • 台所用洗剤(液体タイプ)
  • 洗濯用洗剤
シミ・汚れ取りの手順
  1. 気になるシミがある部分を35℃前後のぬるま湯で軽く濡らします。
  2. 台所用の洗剤を少量、シミがある部分に垂らします。
  3. 指でやさしく揉むようにして洗います。
  4. ぬるま湯でよくすすいで、汚れの状態をチェックします。
  5. シミが目立たなくなっていたら、洗濯用洗剤を使って洗濯機で全体を仕上げ洗いします。
  6. シミの状態をよく確認してから自然乾燥させます。シミが残っている場合には、すぐにシミ抜きを再度行うか、漂白作業等を行います。

※血液シミなど、タンパク質の多いシミの場合にはお湯を使わずに冷水で汚れとりを行いましょう。タンパク質が固まってしまい、汚れが取りにくくなります。

 

デリケートな服の場合

ご家庭での水洗いには対応しているけれど、「手洗い」等のデリケートな対処が求められる服…そんな『おしゃれ着』に付いた水溶性汚れには、次のような対処法を取ります。

用意するもの
  • 中性タイプの洗濯用洗剤(おしゃれ着用のもの)
  • 柔らかい布
  • タオル 数枚
  • 洗面器、バケツ等の容器
  • 洗濯用ネット
シミ・汚れ取りの手順

※シミ抜き作業では下にタオルを敷いておきます。

  1. 衣類の気になるシミがある部分に35℃前後のぬるま湯を少し垂らして、染み込ませます。
  2. 洗面器等にお湯を少し入れてから、中性洗剤を適量入れてよく溶かします。
  3. 中性洗剤を溶かした液をシミがある部分に少しずつ垂らします。
  4. 柔らかい布を上に置いて優しく押さえ、水分と汚れを一緒に吸い取ります。
  5. 洗剤液を垂らす→乾いた布で吸い取るを何度か繰り返します。
  6. シミが目立たなくなったら、衣類を畳んで洗濯用ネットに入れておきます。
  7. 洗面器またはバケツの洗濯液に、衣類全体をネットごと漬け込みます。
  8. 両手で優しく押すようにして全体を押し洗いします。
  9. 2回水をとりかえて、よくすすぎます。
  10. 型崩れに比較的強い衣類の場合は、洗濯用ネットごと洗濯機に入れて30秒程度短く脱水させます。型崩れに弱い衣類の場合は、乾いたタオル2枚で挟んでポンポンと軽く叩き、優しく脱水させます。

※血液シミなど、タンパク質の多いシミの場合にはお湯を使わずに冷水で汚れとりを行いましょう。タンパク質が固まってしまい、汚れが取りにくくなります。

※衣類によってはゴシゴシとこする「摩擦(まさつ)」によって表面が毛羽立ったり、白っぽくなってしまうことがあります。強くこすったり揉んだりせず、できるだけ優しく取り扱いましょう。

 

ガンコな水溶性汚れには漂白剤

水溶性の汚れの中には、色素が多くてガンコなものもあります。このような汚れは時間が経つ毎にしっかり繊維に定着してしまうので、洗剤だけではなかなか汚れを落とすことができません。

ガンコな水溶性のシミ・汚れは酸素系漂白剤を使ってスッキリと落としましょう。

用意するもの
  • 酸素系漂白剤(粉末タイプ・過炭酸ナトリウム)
  • 洗濯用洗剤
  • 洗面器またはバケツ
  • 洗面器等の蓋になるものか食品用ラップ
シミ抜き・汚れとりの手順
  1. 洗面器等に35℃~50℃前後のお湯を入れます。
  2. お湯2リットルに対して10グラム程度の酸素系漂白剤を入れ
    てよく溶かします。
  3. 衣類をお湯に全体的に漬け込み、上から蓋かラップをかけて密閉します。
  4. 15分~30分程度放置します。
  5. 水でよくすすいで、シミの状態を確認します。
  6. 汚れが取れていたら、洗濯用洗剤で全体を洗濯機洗いして仕上げます。
注意点

※次のような衣類には粉末タイプの酸素系漂白剤は使用できません。

  • ウール・絹等の動物性の繊維
  • 水洗いができない繊維
  • 金属の染料を使っている繊維
  • ステンレス以外のボタンやジッパー等を使っている衣類

※素材によっては40℃以上のお湯を使うことで縮むことがあります。洗濯表示をよく確認し、ぬるま湯の指定がある場合には30℃程度のぬるま湯を使用しましょう。

 

水洗いできないものはクリーニング店へ

衣類についた水溶性汚れをご家庭で落とすには「水洗い」の工程が必要です。家で水洗いができない衣類に水溶性汚れをつけてしまった場合には、できるだけ早くクリーニング店に持ち込みましょう。

水洗いできない衣類の例
  • シルク100%やシルク混紡の衣類
  • ウォッシャブル対応ではないウールの衣類
  • ご家庭で色落ちしやすい染料の衣類
  • 型崩れが起きやすい衣類 など

水性シミ抜き・ウェットクリーニングができるか確認を!

一般的なクリーニング方法である『ドライクリーニング』だけでは、水溶性のシミや汚れをキレイに落とすことはできません。

お店で衣類に「水性の汚れがついている」ということを説明し、水性のシミ抜きやウェットクリーニング(水を使ったクリーニング)ができるかどうかよく確認してから洗濯を依頼しましょう。

 

おわりに

水溶性のシミ・汚れは、早めに水洗いをすればサッと落ちる比較的カンタンな汚れです。しかし長く放置をしてしまうと家では落ちにくくなりますし、さらには変色シミ等の原因にもなってしまいます。

「水性汚れだから」と甘く見ずに、家で洗う場合でもお店に持ち込む場合でも、早めに対処をすることが大切ですよ。

浴衣の帯のシミは洗っちゃダメ?正しい洗い方と対処法

浴衣の帯

夏の装いには欠かせない浴衣(ゆかた)。木綿の浴衣やポリエステルの浴衣はおうちでも洗うことができるので、その気軽さからも浴衣に挑戦する人は多いようです。でも浴衣の帯(おび)にシミや汚れができてしまった時はどうしたら良いか知っていますか?

浴衣と同じ感覚で帯の汚れを扱うと、思わぬトラブルとなってしまうことがほとんど。中には大切な帯をダメにしてしまう人も居ます。来年もキレイに帯を使えるように、正しい帯の汚れの対処法を知っておきましょう!

ここでは浴衣の帯のシミ・汚れの対処法を詳しく解説していきます。

まずは浴衣の帯の種類を確認

浴衣の帯には次のようなものがあります。

  • 半幅帯(はんはばおび):浴衣には一番スタンダードな帯。自分で帯結びを作ります。
  • 作り帯・結び帯:すでにりぼん風やお太鼓風に結った形ができている帯です。
  • 兵児帯(へこおび)」凹凸がある素材で、ふわふわ・くしゅくしゅとしている帯です。
  • 小袋帯(こふくろおび):2枚の生地を縫い合わせたリバーシブル風になっている帯です。

半福帯 兵児帯

半福帯 兵児帯

このうち、家でシミ抜きや洗濯ができる可能性があるのは「半幅帯」または「兵児帯」です。作り帯はすでに形が仕上がっているため、型崩れ防止の観点からご家庭ではシミ抜きや洗濯等を行うことができません。

 

次に帯の「素材」を確認

半幅帯や兵児帯の素材には大きく分けて「化繊(ポリエステル等)」と「天然素材(木綿等)」があります。この種類で対応が大きく変わるので注意しましょう。

ポリエステルの帯(化繊の帯)

原則としてご自宅でのシミ抜き・手洗いが可能です。ただし中には帯芯の崩れ防止、縫い付けてある加工の剥がれ防止等で「水洗い不可」のものもあります。洗濯表示をよくご確認ください。

絹・木綿・麻等の天然素材の帯

水洗い・水を使ったシミ抜きの他、ベンジンを使ったシミ抜き等の一切のお手入れがご家庭ではできません。これには次のような理由があります。

  • 濡れると縮んで型くずれする
  • 洗うと洗いシワが取れなくなる
  • 濡れると帯芯がカビる
  • 帯芯が剥がれてしまう
  • 刺繍の部分だけが色落ちする
  • 凹凸等の風合いが失われる 等

浴衣と同じ感覚で帯を手入れすると、激しいシワや型崩れが起きたり、後からカビが発生したりという甚大なトラブルになってしまいます。絶対に自己判断でのお手入れはやめておきましょう。

特に絹の兵児帯等はポリエステルとは見分けがつきにくく、間違って洗って縮ませてしまう人が多いです!十分にお気をつけください。

【注意!】

「水を使わないから」とベンジンでのシミ抜きを帯に行おうとする人がいますが、これも止めておいた方が良いです。一時的にでも帯が濡れると中の帯芯との接着がダメになって、帯の縫い目をほどいて作り直さないと元に戻せなくなることがあります。

 

ポリエステル帯のシミ抜き・洗い方

ではポリエステルの帯はどのようにシミ抜き・洗濯等のお手入れをしたら良いのでしょうか。

用具を用意する

ポリエステル帯のシミ抜きでは、次のものを用意します。

  • 中性タイプの液体洗剤(エマール、アクロン等)
  • 台所用の洗剤(油性シミがある場合)
  • 柔らかい布(ハンカチ等でもOK、汚れても良いもの)
  • タオル数枚
  • 洗濯用ネット
  • ハンガー

シミ抜き(部分洗い)を行う

ポリエステルの帯に付いた目立つ汚れやシミを先に取っておきます。

  1. タオルを広げて、帯を上に置きます。
  2. 洗面器等に水を少し入れて、中性洗剤を適量入れて溶かしておきます。シミが油性の場合には、台所用の洗剤を使いましょう。
  3. シミがある部分に溶かした液を少しずつ垂らして、シミ全体に染み込ませます。
  4. 乾いた柔らかい布を上に置いて、上からそっと押さえましょう。汚れと水分を一緒に布に吸い込ませます。
  5. 「洗剤を溶かした水を垂らす」→「優しく押さえる」を、何度か繰り返して汚れを取っていきます。ゴシゴシこすったり、強く押さえるのは止めましょう。

全体洗いを行う

目立つ汚れが落ちたら、ポリエステル帯の全体を洗って仕上げます。帯は型崩れしやすいので、洗濯機を使わず手洗いでやさしく洗いましょう。

  1. バケツや洗面ボウル等に30°前後のぬるま湯を入れます。
  2. 中性洗剤を適量垂らして溶かします。使用量は、洗剤パッケージ裏にある説明書の「手洗い」の項目を参照しましょう。
  3. 帯を全体的に水に漬けます。
  4. 帯を両手で上から軽く押して、優しく押し洗いをしていきます。ゴシゴシと強くこすり合わせたり、ギュッと強く絞らないように注意しましょう。
  5. 水を2回とりかえ、真水で押し洗いするようにすすぎます。
  6. 乾いたタオル2枚で帯を両側から挟んでポンポンと叩き、やさしく脱水していきます。(洗濯機の脱水をかけるとシワがつきやすいので、タオル脱水にした方が安心です)
  7. 形をよく整えてから、直射日光が当たらない場所で自然乾燥させます。
  8. ポリエステル帯の場合、アイロン掛けはいらないものが多いです。しかしアイロン必要の場合には、アイロンで形を整えます。この場合はあて布をして、テカリが出ないように気をつけましょう。

落ちないポリエステル帯の汚れもある?

ご家庭でのお手入れがしやすいポリエステル帯ですが、次のような汚れはシミ抜きをするのが難しいです。

  • 何日も経って乾いてしまったシミ
  • 後から浮いてきた油シミ
  • あとから変色して見つかったシミ(黄ばみ、黄変)
  • 色素が多いシミ(ワインのシミ、果汁のシミ等)

このような汚れは早めに専門店に相談しましょう。

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家でシミ抜きできない帯は「着物の専門店」に相談

木綿の半幅帯や絹の兵児帯等、自分でシミ抜きや洗濯ができない帯に汚れ・シミができた時にはどうすれば良いのでしょうか。

一般クリーニング店だと受付NGになりやすい

「着物」は受け付けてくれるクリーニング店でも「帯」はクリーニングお断りというお店はたくさんあります。これは帯の扱いが着物に比べてとても難しく、扱える工場や職人さんが少ないためです。

着物専門のクリーニング店が理想的

「帯のシミをなんとかしたい」という時には、着物を専門に扱うクリーニング店や、悉皆屋(しっかいや:着物のお手入れの専門業者さん)を選ぶようにしましょう。

浴衣の帯だけでなく様々な着物の帯のシミ抜きや洗濯・加工等を行っているお店であれば、帯の汚れに対処してくれる可能性が高いです。

仕立て直しになることもある

帯のシミ・汚れについては、中の帯芯にまで汚れが入り込んでしまっていることが多いです。そのため外側からの「シミ抜き」だけでは問題が解決せず、一度帯の縫い目をほどいて縫い直したり、帯芯を取り替えたりする作業が必要になることもあります。

帯の状態をよく検品して、先に見積もりを出してくれるお店を選ぶことをおすすめします。

 

おわりに

ご家庭で洗いやすいものも多い「浴衣」に比べると、「浴衣の帯」は扱いにくいものが意外と多いです。「小さな子どもに使わせる」「お祭り等で汚れを気にせずに食べあるきをしたい」といった場合には、なるべくお手入れのラクなポリエステル帯を選ぶようにすることをおすすめします。

また木綿や麻・絹の帯を汚してしまった場合、放っておくと中の帯芯がカビてきて、帯がかび臭くなったり、表面にまでカビのシミが広がってしまうことがあります。汚れを発見したら、なるべく早く専門業者さんにシミ抜きをお願いしましょう。