着物ブームがやってきている昨今、お正月や成人式・結婚式以外にも気軽に着物を身に付ける人が若い世代を中心に増えています。でも外出先での食事やお茶の時等に、着物に思わぬ染みができてしまうこともありますね。
大切な着物をダメにしてしまわないよう、自宅でもできる染み抜き方法を知っておきましょう。
水溶性シミの場合
コーヒーや紅茶、ワイン、ビール等の水溶性の染みは、できるだけ早く水分を丁寧に吸い取ることが大切です。色素が残ってしまった場合には、中性の洗濯用洗剤で優しく染み落としをします。
用意するもの
・ガーゼ
・洗濯用洗剤(液体タイプ・中性のもの)
・ボウル等の容器
・綿棒
注意点
※洗剤使用時には必ず目立たない場所で色移り・変色のチェックを行います。
シミ抜き手順
- シミになった部分の裏側にタオルをあて、表側から別のタオルで優しく抑えて水分を吸い取ります。強く抑えてしまうと生地に汚れを押し込んでしまうので、そっと抑えて離す作業を繰り返しましょう。
- タオルをぬるま湯に浸して固く絞り、シミ部分をトントンと軽く叩いて汚れをタオルに移します。シミ範囲が小さく、シミができてすぐに2)までの作業を丁寧に行えば、ほとんどシミは残りません。
- 色素残りが見られる場合には、洗剤でのシミ抜きを行います。ぬるま湯に中性洗剤を少量溶かして溶液を作っておきます。10倍~15倍程度に薄めておきましょう。
- 綿棒に洗剤溶液を浸し、シミ部分をトントンと軽く叩いていきます。輪染み残りにならないよう、シミの外周部分から内側に向かって汚れを浮かしていきましょう。適宜ガーゼをあて、汚れをガーゼに移します。
- 色素残りが目立たなくなったら、最後にもう一度ぬるま湯で絞ったタオルでシミ部分を軽く叩きます。
- 和装ハンガーに着物を干し、水分をよく飛ばして乾かします。
油溶性のシミの場合
マヨネーズ等の食品類、口紅等の化粧品類等の油溶性のシミの場合には、揮発性油であるベンジンで汚れを分解します。
口紅の染み
用意するもの
・脱脂綿(コットン)/ガーゼ
・タオル
注意点
※必ず目立たない場所で色移り・変色テストを行います。
※部屋の窓を開け、換気した状態にしてください。
シミ抜き手順
- 着物を広げてシミの裏側にタオルをあてておきます。
- コットンもしくはガーゼにベンジンを含ませ、トントンと軽く叩いて汚れを移していきます。ゴシゴシ擦ると生地を痛めるので、あくまでも優しく叩くことが大切です。
- 輪染みにならないよう、シミの外側から内側に向かって叩いていきます。特に外周部分は丁寧にぼかすようにしましょう。
- 別のガーゼで着物を叩き、浮いた汚れをガーゼへと移します。
- 汚れを叩く脱脂綿も汚れを移すガーゼも頻繁に取り換え、常にキレイな面が着物に触れるように気をつけます。
- 輪染みにならないようよくぼかして仕上げ、着物を乾かします。
- 乾燥後に色素残りが気になる場合には、上記の「水溶性のシミ」の対処法を続けて行います。
おわりに
着物の生地によっては、中性洗剤・ベンジンでの対処が行えないことがあるほか、染色によっては水濡れ自体がNGという場合もあります。
染み抜きを行う場合には丁寧に変色・色移りの確認をして、自己責任で行うようにしてください。また、以下の場合には自宅での染み抜きを成功させるのは少々困難です。
- 生地が正絹である
- 刺繍等の箇所にシミができている
- シミ範囲が広い
- 水分を取っても色素が非常に目立つ
- シミの原因がわからない
- インクやペンキ等のシミがついた
- 以前に作った古いシミである
自宅での染み抜き対処が不安な場合や、上記にあたるシミの場合には、早めに和装向けクリーニング店もしくは悉皆屋に相談をすることをおすすめします。
専門業者に依頼をする場合には、シミを作った期日・原因をわかる範囲で言い添えると、より染み抜き対処が適格になりますよ。
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