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シミ抜きにも必須の「界面活性剤」とは何?種類や働きを解説

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シミ抜きや洗濯等の話題では、頻繁に出てくる「界面活性剤」という言葉。「聞いたことはあるけれど、どんな働きをしているのかは知らない」という方もいることでしょう。また最近では「なんだか体に良くないのでは?」というイメージを持つ人も多いようです。でも界面活性剤は、実はシミ抜きに欠かせない存在なんですよ。今回はシミ抜き・クリーニング等で大切な働きをしている「界面活性剤」について、詳しく解説していきます。

 

 

界面活性剤とは何?

「界面活性剤=洗剤に入っているもの」と思いこんでいませんか?これは大間違い!例えば私達が毎日のように食べている「卵(卵黄)」にも、「卵黄レシチン」という天然の界面活性剤が含まれているんです。

界面活性剤の「界面」とは、物質と物質の境目にある面(境界面)のことを意味します。界面活性剤とはこの「境目の性質を変化させるもの」という意味の言葉。性質を変化させる物質のすべてを「界面活性剤」と呼んでいるんです。

「物質と物質の境目」とだけ言われると、ちょっとピンと来ないかもしれませんね。ではお皿にお水を薄く張って、そこに少量の油を落としてみたところを想像してみましょう。水と油は元々は混じり合うことがありません。なので油は丸く浮かんでいる状態になってしまいますよね。しかしここに界面活性剤入りの洗剤を入れると、水と油が混ざりやすくなります。

水と油の「境界(界面)」が変化したことで、本来混じり合えなかったものが混じったわけです。界面活性剤は水に馴染む「親水性」・油に馴染む「親油性」の両方の働き一つの分子の中に持っています。そのため、このような特殊な働きができるのですね。

 

界面活性剤の働き

では界面活性剤の「2つの物質を混じり合わせる」という性質は、私達の生活の中でどのように使われているのでしょうか?

●浸透作用

水を弾いてしまう物質に界面活性剤を加えることで、水を浸透させやすくすることができます。例えば羊毛(ウール)は繊維表面にスケールというウロコ状のものがあり、これが強く水を弾くので、なかなか水気を浸透させることができません。しかし界面活性剤を加えれば羊毛の撥水力を抑え、繊維の内側にまで水分を浸透させることができます。

 

●乳化作用

これは先程のとおり、水と油を混じり合わせる作用ですね。卵と油・酢を混ぜ合わせてマヨネーズができたり、クレンジングオイルにお湯を足すと白っぽくなるのも「乳化」の働きです。

 

●分散作用

水や空気に溶けにくい物質は、通常だと水の表面に浮いたり、どこか一箇所に固まってしまいがち。しかし水中等に分散をさせておけば「混じっているのに近い状態」を維持する事ができますね。例えばボールペンのインク等に使われる顔料は、鉱物でできているパウダーなので元々水には混じりません。

しかし界面活性剤の働きで「分散」をされていれば、顔料の粒子がインクの中に等分に混じった状態をキープできるんです。

シミ抜きや洗濯では、上記の働きがフルに使われています。

1)界面活性剤の「浸透作用」で繊維の表面張力を低下させ、濡れやすくする
2)汚れの表面にくっついて、汚れと水の間の表面張力を小さくし、汚れを剥がす。乳化によって油汚れを浮き上がらせる。
3)分散作用によって、汚れを安定して水の中に浮かせ、汚れが再度衣類に付かないようにする

シミ抜きや洗濯の工程で、界面活性剤の働きは欠かすことができないものなんですね。

 

界面活性剤の種類

界面活性剤は、その原料や表記方法・特性等によって、様々な種類に分類することができます。

【原料による大まかな分類】

  • 天然界面活性剤:植物や有機食品等の自然のものに含まれる界面活性剤のこと。前述した卵黄レシチンの他、牛乳に含まれるガゼイン、ヘチマ等に含まれるサポニン等がある。・合成界面活性剤:科学的に合成して作られた界面活性剤のこと。石油系のもの、天然油を使用したもの等がある。

【家庭用品品質表示法による分類】
家庭用品品質表示法では、人工的に作られた界面活性剤を以下のように分類しています。

  • 石けん:界面活性剤が含まれるが、製法が単純かつ水を加えることで界面活性の働きを失うという安全性の高さがあるため、合成とは異なる分類にされている。
  • 合成界面活性剤:石けん以外の人工的界面活性剤を総称する。

【特性による分類と主な用途】

  • アニオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤):水に解けた時にマイナスイオン(陰イオン)に電離する。石けん等、昔からある界面活性剤の種類。洗濯洗剤やボディーソープ、シャンプー等にも使われる。
  • カチオン界面活性剤(陽イオン界面活性剤):水に溶けた時にプラスイオンに電離する。帯電防止効果があり、柔軟性や殺菌性等に優れる。柔軟剤やヘアリンス等に使われる。
  • 両性界面活性剤:水に溶けた時に、アルカリ性の場合にはマイナスイオンに、酸性の場合にはプラスイオンに電離する両面の特性を持った界面活性剤。水に溶けやすく、皮膚への刺激が比較的少ない。シャンプーやボディーソープ、キッチン用洗剤等、手肌に直接触れることの多い洗剤によく使われる。
  • ノニオン界面活性剤:水に溶けた時にイオン化しない。乳化力の高さ・溶けやすさ等に優れ、近年では化粧品類等の乳化剤として、また医療用洗剤への使用用途が増加している。

 

「界面活性剤=悪玉」は思い込み?

健康や美容に対する意識が高まるに連れ、「界面活性剤は体に悪い!」と考える人が増えています。しかし上記のとおり、石けんや有機食品といったナチュラルに見える製品にも、界面活性剤は含まれているもの。

「界面活性剤を使わない生活」というのはあり得ないんですね。「とにかく界面活性剤を避ける」のではなく、界面活性剤との上手な付き合い方を考えることが重要と言えます。

例えばシミ抜きの場合には、通常の石けん等よりも洗浄力の強い界面活性剤が入った洗濯洗剤や漂白剤を使うこともありますね。

洗浄力の高い界面活性剤は手肌の皮脂等も一緒に洗い流してしまうので、手荒れ・乾燥肌等の原因となってしまうこともあります。

シミ抜きの際にはゴム手袋をはめる、手洗いの際にはすすぎを2~3回以上きちんと行って界面活性剤を衣類に残さないようにする等、手肌に負担をかけないように意識をしましょう。

 

おわりに

界面活性剤の種類や役割、使われる製品等の情報はいかがでしたか?汚れを衣類を残さず、清潔な状態に保つには、界面活性剤を使いこなしていくことが大切です。

例えば色素や油分等の含有量が多いシミの場合、いわゆる「手肌に優しい(=洗浄力がやや落ちる)」ような界面活性剤では汚れが落としきれないということもあります。シミや汚れの程度、衣類の素材等に合わせて、うまく使い分けをしていきたいですね。

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