普通の洗濯だと落ちにくいシミの代表格として挙げられる、文房具のシミ。インクやマジックペンのシミって、かなりガンコですよね。また忘れられがちですが、「鉛筆のシミ(鉛筆の汚れ)」も、衣類の汚れの中ではかなり落ちにくいシミなんです。
特に小さなお子さんの場合、Tシャツや体操着等に「ガリガリッ」と鉛筆の芯をこすりつけてしまった…なんてケースはよくあるもの。まっしろなシャツに鉛筆の線がクッキリ!「これは買い換えるしかないのか…」と、肩を落としている親御さんも多いのではないでしょうか?
鉛筆の汚れ・シミは、ちょっと工夫をするだけでグッと落としやすくなります。ここでは鉛筆・色えんぴつの汚れ落とし・染み抜き方法をわかりやすくご紹介していきましょう。
固形石けんで鉛筆のシミが落ちる?
なぜ鉛筆のシミ・汚れは落ちにくいのでしょう?それは鉛筆の芯が、水にも油にも溶けない素材で作られているからです。鉛筆の芯は、炭素の一種である黒鉛(こくえん・石墨・グラファイト)に粘土を混ぜて作られています。
色えんぴつの場合には黒鉛の代わりに、石から作った顔料を混ぜて作ります。黒鉛や顔料は水でも溶かすことができませんし、油でも分解しない「不溶性」。そのためかなりガンコなシミとなってしまいます。
このような汚れを落とすには、汚れを分解するのではなく「繊維から取れやすくする」という方法を取るのが理想的です。炭や泥といった不溶性の汚れを剥がすのが得意なのが「固形の洗濯石鹸」!液状のものよりも洗浄成分の配合率が高いので、少し塗りつけただけでも汚れを衣類から浮かせてくれます。
用意するもの
シミ抜きの手順
- 鉛筆汚れがある部分を濡らしておきます。35℃程度のぬるま湯を使うとより汚れが落としやすくなります。
- 固形石けんをシミがある部分に直接付けて、塗り込みます。
- 歯ブラシで軽く叩くように汚れを浮かせていきます。汚れ範囲が広い場合には、手で揉むように洗います。
- シミが取れたら、水でよく濯ぎます。
- 洗濯用洗剤で全体を手洗い、もしくは洗濯機洗いで仕上げます。
※水洗いができない製品にはこの方法は使えません。
※固形石けんはアルカリ性であるため、ウール・シルク・アンゴラ等のデリケート素材には使用できません。素材の収縮・傷み等を起こしてしまう可能性があります。
※生地・染色によっては、色落ち・変色が起きる可能性があります。事前に目立たない箇所でテストを行うことをおすすめします。
急ぎの時にはキッチン洗剤でもOK!
「鉛筆の汚れには固形石けんがベスト」…確かにこれはそのとおりなのですが、重要なポイントとしては「シミ抜きに入るスピード」が挙げられます。
固形石けんが手元にない!という場合に、「じゃあ、後から買いに行こう」と汚れたシャツを放っておいて忘れてしまった…これをやってしまうと、汚れがどんどん落ちにくくなってしまいます。
別の石鹸を使っても良いので、とにかく早くシミ抜きに入ることが大切なんです。
ご自宅に必ずある!という石鹸・洗剤類の中で、もっとも使いやすいシミ抜き剤としては食器用の洗剤(液体タイプ)が向いています。キッチン洗剤を使ったシミ抜き方法も知っておきましょう。
用意するもの
・古い歯ブラシ(あれば)
・洗濯用洗剤
シミ抜き手順
- 鉛筆のシミがある部分はあらかじめ濡らしておきます。
- 食器用洗剤をシミ部分に直接つけます。(3倍濃縮タイプ等の場合には、小皿などに原液を出してから水で薄め、古い歯ブラシ等で少しずつ付けることをおすすめします)
- 手で軽くつまむように洗い、汚れを浮かせます。
- 水ですすいで、汚れをチェックします。汚れが取り切れていない場合には、2)~4)をもう一度繰り返します。
- 汚れが取れたら、全体を洗濯用洗剤で仕上げ洗いします。
※水洗いができない製品には、キッチン用洗剤は使えません。
※天然染色製品・濃色製品等の色落ちが起きることがあります。事前に目立たない箇所でテストを行うことをおすすめします。
おわりに
鉛筆のシミ・汚れは、付着してから時間が経つと衣類に芯の汚れが定着し、徐々に落ちにくくなっていきます。「いつ付けたのかわからない」というシミ・汚れの場合、上記の方法ではキレイに落としきれない可能性もあるわけです。
また、シルク・ウール・カシミヤ等の素材、ワンピース・ドレス・着物・コート等の高級衣類には、上記のような洗浄力の強い洗剤・石鹸を使ったシミ抜き方法は不向きです。鉛筆汚れが落としきれなかったり、家で洗えない衣類にシミを付けてしまった場合には、早めにクリーニング専門店に相談をしましょう。