キュプラはツヤツヤとした独特の光沢感が魅力の素材です。ジャケットやコートの裏地等でよく見かけますが、レディースですとブラウスやシャツ等にキュプラが使われていることもありますね。さてこのキュプラって「しみ抜き」はできるんでしょうか?
キュプラはおしゃれ着に使われることが多いため「キュプラは一切シミ抜きはできない」と思っている人も多いようです。でも状態によっては、自分でもキュプラのしみ抜きができるんですよ。
ここではキュプラを自宅で染み抜きする時の方法や注意点についてご紹介していきます。
- ステップ1:洗濯表示をチェック!
- ステップ2:シミの原因を確認!
- ステップ3:中性洗剤を用意する
- ステップ4:シミ部分を水で濡らす
- ステップ5.洗剤をつける
- ステップ6:汚れを浮かせる
- ステップ7:水ですすぐ
- ステップ8:脱水する
- ステップ9:全体洗いを行う
- ステップ10:バスタオルで吸水
- ステップ11:落ちないシミは専門店へ
- おわりに
ステップ1:洗濯表示をチェック!
キュプラ素材の服にシミを付けてしまったら、まずはとにかく洋服のタグの「洗濯表示」をチェックしてみましょう。そのキュプラ、ウォッシャブルですか?
キュプラは化学繊維であるため、ポリエステルのようにザブザブと洗える繊維であると勘違いをしている人も多いです。しかし実際のキュプラは、まるでシルクのように繊細な素材。そのためご自宅では水洗い自体ができないことがあります。
- 洗濯表示に手洗いマークがある
- 製品名に「ウォッシャブルキュプラ」と入っている
上記の2点のいずれかを満たしていれば、このままキュプラのしみ抜きのステップ2に進んで大丈夫。洗濯表示で「手洗い(水洗い)NG」となっている場合は、最後の「ステップ11」に進みます。
ステップ2:シミの原因を確認!
キュプラは繊細な素材であるため、自宅でのキュプラしみ抜きではあまり強力な洗剤を使うことができません。そのため、家で落とせるシミの原因が限られます。今回ついたシミの原因は何ですか?
【家で落とせるシミの例】
水溶性のシミで、付いて間もないもの、範囲の狭いものは比較的落としやすいです。
- 飲み物のシミ(ジュース等)
- 醤油のシミ
- おしっこのシミ
- 汗のシミ 等
【家で落としにくいシミの例】
油の多いシミ、色素の多いシミは落としにくいです。
- マヨネーズのシミ
- バターのシミ
- 肉汁のシミ
- ワインのシミ
- 範囲の広いシミ 等
【家で落とせないシミの例】
次のようなキュプラのシミはご家庭では落とせません。
- 付いてから時間が経っているシミ
- インクのシミ
- 絵の具のシミ
- 変色しているシミ 等
シミの原因が「家で落とせるもの」であれば、このまま次のステップへ。また落としにくいシミでも、ごく小さい範囲で当日ついたばかりのシミなら、家で落とせることもあります。
範囲が広く油が多いシミ、また「家で落とせないシミ」の場合には、ステップ11へと進みましょう。
ステップ3:中性洗剤を用意する
キュプラのしみ抜きでは、液体型の中性洗剤を使用します。製品名で言うと、次のようなものです。
● エマール 洗濯洗剤おしゃれ着用
● アクロン
● ラボン・シャレボン 等
注意!強い洗剤はNG
蛍光剤や酵素が入った合成洗濯洗剤や粉石けん等は使うことができません。アルカリ性の洗浄力の強い洗濯洗剤を使うと、ウォッシャブルキュプラでも縮んでしまう恐れがあります。
またジェルボールタイプ等の洗濯洗剤も使えません。おしゃれ着洗用の中性洗剤をお持ちでない場合には、改めて洗剤をご購入ください。
ステップ4:シミ部分を水で濡らす
では早速、キュプラのしみ抜き作業に入っていきましょう。中性洗剤以外には、次のものを用意します。
【用意するもの】
- バスタオル(2枚程度)
- 歯ブラシ(毛先の柔らかいもの)
- 綿棒
- 洗面器
- 洗濯ネット
下にバスタオル等を敷いてから、シミのある衣類を広げます。洗面器には水を適量入れておきます。歯ブラシに洗面器の水をつけてから、シミのある部分を優しく叩いて、少しずつ水を吸わせていきましょう。
ぬるま湯やお湯はNG!
キュプラのしみ抜きでは、一般的なコットンやポリエステル素材の時のような「お湯」「ぬるま湯」の使用ができません。
キュプラは熱に大変弱く、お湯の温度が加わることで激しく縮んでしまいやすいためです。しみ抜き作業だけでなく、普段のお洗濯でも洗浄には「水」を使ってください。
作業は手早く!
キュプラは上の解説通り縮みやすい素材なので、あまり長々と水で濡らしておくのは避けたいところ。水で濡らしてからのしみ抜き作業は、できるだけスピーディーに進めましょう。
ステップ5.洗剤をつける
洗面器の水に中性洗剤を適量垂らして、よく混ぜて溶かします。できた液剤を歯ブラシにつけて、シミの部分を軽くトントンと叩くようにしながら洗剤を塗っていきます。
ステップ6:汚れを浮かせる
歯ブラシまたは綿棒を使って、シミの部分を表面(シミの原因によっては裏地側)から軽く叩いていきます。ポンポンと優しく叩くことで汚れが浮きやすくなります。
ゴシゴシ洗いはNG!
キュプラは摩擦(まさつ/こすりあわせること)にとても弱い素材です。ブラシを往復させてゴシゴシとこするように洗ったり、つまんで布地同士を強く擦り合わせるのもNG。
あまり強く洗いすぎるとその部分にピリング(小さな毛玉)や毛羽立ちができる可能性も。優しくあらうことを心がけてください。
ステップ7:水ですすぐ
汚れが十分に浮いたら、25℃以下の真水ですすぎます。この後に仕上げ洗いも行うので、すすぎはカンタンでも大丈夫です。
ステップ8:脱水する
しみ抜き後の仕上げ洗いに入る前に、一度脱水を行います。これは水に弱いキュプラの縮みを防ぐためです。洗濯ネットに洋服を畳んで入れたら、洗濯機で約10秒の脱水をしましょう。
脱水しすぎはNG
20秒~30秒以上の長い脱水は、余計なシワの原因となるので避けます。
ステップ9:全体洗いを行う
上のキュプラのしみ抜き作業でシミが目立たなくなったら、お洋服全体を手洗いで全体洗い(仕上げ洗い)しましょう。
【仕上げ洗いの方法】
- 洗面器等に適量の中性洗剤を入れて溶かす
- 洗濯ネットに畳んで洋服を入れる
- 洋服を①の中に入れて、30秒程度押し洗いをする
- ネットに入れた状態で洗濯機で10秒程度脱水する
- 真水ですすぎを行う。すすぎは2回くりかえす
- 再度10秒の脱水を行う
- 柔軟剤で仕上げ、最後にもう一度10秒の脱水
仕上げ洗いは必ずしよう
キュプラは水濡れ等による「輪ジミ」ができやすい素材です。そのためしみ抜き後に全体洗いをしないと、シミ抜きをした部分や濡らした部分だけが輪ジミになってしまうことも。
輪ジミができるのを防ぐために、全体洗い(仕上げ洗い)は必ず行いましょう。また洗うのは必ず手洗い(押し洗い)で、途中に細かく脱水を挟む工程も飛ばさないようにしてください。
ステップ10:バスタオルで吸水
キュプラは上で解説したとおり繊細な素材なので、長く脱水にかけることができません。そのため残った水分は、バスタオルで挟んでトントンと軽く叩くようにして吸水させます。
その後は形を整えてハンガーや平干しにし、陰干しで十分に自然乾燥させましょう。縮みやすい素材なので、乾燥前に形をしっかり整えることが大切です。
ステップ11:落ちないシミは専門店へ
- 上のしみ抜き方法ではシミが落ちなかった
- 水洗いができないタイプのキュプラだった
- 自分でキュプラのしみ抜きができるか不安
- ガンコな油染みや汗ジミ・古いシミである
上のような場合には、それ以上のご自宅でのしみ抜きはおすすめしません。特にベンジン等の溶剤、アルコール、クレンジングオイル等を使ったしみ抜きは避けた方が良いです。
繰り返しますがキュプラは「輪ジミ」や「縮み」ができやすい素材であり、ムリな溶剤の使用が大きな輪ジミ作りの原因にもなります。ムリをせず、お早めにクリーニング専門店に持ち込んだ方が良いでしょう。
おわりに
キュプラのしみ抜き方法は、縮みと輪ジミを防ぐためにかなり面倒な工程が続きます。「時間がかかるな」と感じるかもしれませんが、一度縮んでしまったキュプラは、専門店でも元に戻すことができません。どうか工程を飛ばさずに、丁寧でなおかつスピーディーなしみ抜き作業を心がけましょう。
また「縮ませてしまうかも」「輪ジミに絶対させたくない」と不安がある場合には、無理にご自分でシミ抜きを行わず、しみ抜きに強いクリーニング専門店に相談することをおすすめします。