水溶性汚れは、私達の日々の生活の中でもとてもポピュラーな汚れです。しかし水溶性汚れにまちがったシミ抜き方法や洗濯をしてしまって「汚れが落ちない!」と悩んでいる人、実は意外と大勢います。
衣類などについたシミ・汚れをキチンと落とすには、汚れの性質に合わせたシミ抜きや洗濯をすることが大切なんです。
ここでは水溶性の汚れ・シミについて、その特徴や汚れの落とし方を解説していきます。
水溶性のシミ・汚れとは?特徴を知ろう
水溶性のシミ・汚れ(水性の汚れ)とは、様々な汚れの中でも次のような性質を持つ汚れのことです。
- 成分の多くがが水分(水、H20)で構成されている
- 水に溶けやすい
- 油や溶剤等には溶けにくい
こんな汚れは水性のシミ
私達の日常生活の中では、次のような汚れ・シミが「水溶性の汚れ」として分類できます。
- 汗の汚れ
- お茶のシミ
- コーヒーや紅茶のシミ
- お酒(日本酒)のシミ
- ワインのシミ
- ジュースのシミ など
水分がとても多く液状のもので、なおかつ油分がほぼ無いものの汚れ…特に「飲み物の汚れ」等が目立ちますね。ただし、牛乳や母乳等の乳脂肪分が多いものは「混合性の汚れ」として別に分類されます。
混合性の汚れとの違いに注意
「混合性の汚れ」とは、水分も油分も含んでいるシミ・汚れのことです。混合性の汚れは水分も多いのですが油溶性の汚れと同じ性質も持っているので、両方の性質の汚れを分解していかなくてはなりません。
【混合性汚れの例】
- ドレッシング
- ラーメンのスープ など
水溶性の汚れと混合性の汚れでは、対処法がやや違ってしまうので要注意。原因をキチンと特定することが大切です。
水溶性のシミ・汚れの落とし方
水溶性のシミ・汚れは水に溶けやすいので、その場ですぐに水洗いをすれば比較的カンタンに汚れを落とすことができます。しかし少し時間が経ってしまうと、水だけでは落ちないことも。このような場合には、洗剤+水洗いで汚れを落としていきましょう。
丈夫な服の場合
Tシャツなどの普段着服に付いた水溶性汚れ・シミの対処法です。
用意するもの
- 台所用洗剤(液体タイプ)
- 洗濯用洗剤
シミ・汚れ取りの手順
- 気になるシミがある部分を35℃前後のぬるま湯で軽く濡らします。
- 台所用の洗剤を少量、シミがある部分に垂らします。
- 指でやさしく揉むようにして洗います。
- ぬるま湯でよくすすいで、汚れの状態をチェックします。
- シミが目立たなくなっていたら、洗濯用洗剤を使って洗濯機で全体を仕上げ洗いします。
- シミの状態をよく確認してから自然乾燥させます。シミが残っている場合には、すぐにシミ抜きを再度行うか、漂白作業等を行います。
※血液シミなど、タンパク質の多いシミの場合にはお湯を使わずに冷水で汚れとりを行いましょう。タンパク質が固まってしまい、汚れが取りにくくなります。
デリケートな服の場合
ご家庭での水洗いには対応しているけれど、「手洗い」等のデリケートな対処が求められる服…そんな『おしゃれ着』に付いた水溶性汚れには、次のような対処法を取ります。
用意するもの
- 中性タイプの洗濯用洗剤(おしゃれ着用のもの)
- 柔らかい布
- タオル 数枚
- 洗面器、バケツ等の容器
- 洗濯用ネット
シミ・汚れ取りの手順
※シミ抜き作業では下にタオルを敷いておきます。
- 衣類の気になるシミがある部分に35℃前後のぬるま湯を少し垂らして、染み込ませます。
- 洗面器等にお湯を少し入れてから、中性洗剤を適量入れてよく溶かします。
- 中性洗剤を溶かした液をシミがある部分に少しずつ垂らします。
- 柔らかい布を上に置いて優しく押さえ、水分と汚れを一緒に吸い取ります。
- 洗剤液を垂らす→乾いた布で吸い取るを何度か繰り返します。
- シミが目立たなくなったら、衣類を畳んで洗濯用ネットに入れておきます。
- 洗面器またはバケツの洗濯液に、衣類全体をネットごと漬け込みます。
- 両手で優しく押すようにして全体を押し洗いします。
- 2回水をとりかえて、よくすすぎます。
- 型崩れに比較的強い衣類の場合は、洗濯用ネットごと洗濯機に入れて30秒程度短く脱水させます。型崩れに弱い衣類の場合は、乾いたタオル2枚で挟んでポンポンと軽く叩き、優しく脱水させます。
※血液シミなど、タンパク質の多いシミの場合にはお湯を使わずに冷水で汚れとりを行いましょう。タンパク質が固まってしまい、汚れが取りにくくなります。
※衣類によってはゴシゴシとこする「摩擦(まさつ)」によって表面が毛羽立ったり、白っぽくなってしまうことがあります。強くこすったり揉んだりせず、できるだけ優しく取り扱いましょう。
ガンコな水溶性汚れには漂白剤
水溶性の汚れの中には、色素が多くてガンコなものもあります。このような汚れは時間が経つ毎にしっかり繊維に定着してしまうので、洗剤だけではなかなか汚れを落とすことができません。
ガンコな水溶性のシミ・汚れは酸素系漂白剤を使ってスッキリと落としましょう。
用意するもの
- 酸素系漂白剤(粉末タイプ・過炭酸ナトリウム)
- 洗濯用洗剤
- 洗面器またはバケツ
- 洗面器等の蓋になるものか食品用ラップ
シミ抜き・汚れとりの手順
- 洗面器等に35℃~50℃前後のお湯を入れます。
- お湯2リットルに対して10グラム程度の酸素系漂白剤を入れ
てよく溶かします。 - 衣類をお湯に全体的に漬け込み、上から蓋かラップをかけて密閉します。
- 15分~30分程度放置します。
- 水でよくすすいで、シミの状態を確認します。
- 汚れが取れていたら、洗濯用洗剤で全体を洗濯機洗いして仕上げます。
注意点
※次のような衣類には粉末タイプの酸素系漂白剤は使用できません。
- ウール・絹等の動物性の繊維
- 水洗いができない繊維
- 金属の染料を使っている繊維
- ステンレス以外のボタンやジッパー等を使っている衣類
※素材によっては40℃以上のお湯を使うことで縮むことがあります。洗濯表示をよく確認し、ぬるま湯の指定がある場合には30℃程度のぬるま湯を使用しましょう。
水洗いできないものはクリーニング店へ
衣類についた水溶性汚れをご家庭で落とすには「水洗い」の工程が必要です。家で水洗いができない衣類に水溶性汚れをつけてしまった場合には、できるだけ早くクリーニング店に持ち込みましょう。
水洗いできない衣類の例
- シルク100%やシルク混紡の衣類
- ウォッシャブル対応ではないウールの衣類
- ご家庭で色落ちしやすい染料の衣類
- 型崩れが起きやすい衣類 など
水性シミ抜き・ウェットクリーニングができるか確認を!
一般的なクリーニング方法である『ドライクリーニング』だけでは、水溶性のシミや汚れをキレイに落とすことはできません。
お店で衣類に「水性の汚れがついている」ということを説明し、水性のシミ抜きやウェットクリーニング(水を使ったクリーニング)ができるかどうかよく確認してから洗濯を依頼しましょう。
おわりに
水溶性のシミ・汚れは、早めに水洗いをすればサッと落ちる比較的カンタンな汚れです。しかし長く放置をしてしまうと家では落ちにくくなりますし、さらには変色シミ等の原因にもなってしまいます。
「水性汚れだから」と甘く見ずに、家で洗う場合でもお店に持ち込む場合でも、早めに対処をすることが大切ですよ。