ふんわりとした柔らかな手触りが特徴のカシミヤは、いつの時代も人気の高級素材のひとつ。ただカシミヤはシミが付いてしまった場合等の対処が難しいのが難点ですね。大切なカシミヤの衣類にシミを付けてしまい、しみ抜き対策ができずに困っている人も多いのではないでしょうか。
カシミヤはいくつかの条件があえば、自分でしみ抜きを行うこともできます。ここではカシミヤのしみ抜きに失敗しないためのポイントを4つにまとめてみました。しみ抜き初心者の人も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- 1.まずは洗濯表示をチェック!
- 2.水洗いできるカシミヤのしみ抜き方法
- 2.水洗いできないカシミヤのしみ抜き方法とは?
- 3.仕上げは必ず平干し+カシミヤ用ブラシを!
- 4.重要なのは「シミ特定」と「早期対策」
- おわりに
1.まずは洗濯表示をチェック!
まずは衣類のタグを見て、洗濯表示をチェックしてみましょう。洗濯表示では水洗い(手洗い)がOKになっていますか?カシミヤの中にはウォッシャブルカシミヤという水洗いOKの加工がされているものと、水洗いができないものがあります。
それぞれで対応可能なしみ抜き方法が違うので、しっかりチェックしておきましょう。
2.水洗いできるカシミヤのしみ抜き方法
水洗い可能なウォッシャブルカシミヤ(製品名が「洗えるカシミヤ」等のこともある)であれば、カシミヤのしみ抜きはカンタン!おしゃれ着洗い用の中性洗剤を使ってシミ部分を部分洗いし、その後全体洗いで仕上げます。
【用意するもの】
- 洗濯用の中性洗剤(液体タイプ)
- 洗濯用ネット
- カシミヤ対応の洋服ブラシ
- 平干し用のアイテム(平干しネット等)
- 洗面器
- バスタオル2枚
- 洗面器に水をはって、中性洗剤を適量溶かします。
- シミのある部分に少量の水をかけて、湿らせます。
- シミ部分に1)の洗濯液をつけて、やさしくつまみ洗いをします。シミが小さい場合は、綿棒等で軽く叩いてもOKです。
- シミが目立たなくなったら、一度真水で全体をすすぎ洗いします。
- シミが取れたら全体洗いをします。衣類を洗濯ネットに畳んで入れてから、中性洗剤を溶かした洗濯液に漬けます。
- 30秒程度、やさしく押し洗いをします。
- そのまま洗濯機の脱水で20秒脱水させます。
- 真水でのすすぎと20秒の脱水を2回くりかえします。
- バスタオルで衣類を挟んでポンポンと叩き、残った水分を吸い取ります。
- 平干しネットに衣類を平らに置いて、形をよく整えます。
- 陰干しで自然乾燥させ、十分に乾かしてから服ブラシで毛並みを整えます。
※30秒以上の脱水はNGです。シワの原因になります。
※衣類によっては色落ちが起きる可能性があります。不安な場合は目立たない場所に洗濯液をつけて、変色・色落ちテストを事前に行いましょう。
※縮み・変質の原因となるので、洗濯やすすぎにはお湯を使わないでください。
2.水洗いできないカシミヤのしみ抜き方法とは?
水洗いができないカシミヤのしみ抜きでも、おしゃれ着洗用の中性洗剤が活躍します。
【用意するもの】
- 洗濯用の中性洗剤(液体タイプ)
- カシミヤ対応の洋風ブラシ
- 平干し用のアイテム(平干しネット等)
- タオル数枚
- 洗面器
- 洗面器に水をはって、洗濯用洗剤を適量溶かしておきます。
- 最初にタオルを水道水で濡らしてから固く絞り、シミの部分を軽く叩きます。
- 次にタオルを1)の洗剤液に漬けてから固く絞り、シミの部分をトントンと叩くようにしながらしみ抜きしていきます。
- シミが目立たなくなったらもう一度別のタオルを水で濡らして絞ってからシミ部分を叩き、洗剤の成分を取ります。
- 乾いたタオルで濡らした部分を挟み込むようにして叩き、水分を取ります。
- 平干しネット等に衣類を形を整えて置いて、陰干しで十分に自然乾燥させます。
- 十分に乾いてから、カシミヤ用のブラシで毛並みを整えます。
※強くこすったり強く叩くのはNGです。毛羽立ち・毛玉の原因になります。
※裏地にキュプラや絹が使われている、またはキュプラや絹の混紡製品にはこの方法は使えません。縮みの原因になります。
※色落ち・変色や濡れた箇所の変質が起きる可能性があります。目立たない場所での事前テストをおすすめします。
※刺繍やレース等の特殊加工がされている場所にはこの方法は使えません。
3.仕上げは必ず平干し+カシミヤ用ブラシを!
水洗いができる場合もできない場合も、カシミヤのしみ抜きで大切なのは次の2つのポイントです。
平干しで型くずれを防ぐ
カシミヤは繊維が柔らかいため、濡れた後に干す時に「型崩れ」が起きやすいです。
普通のハンガーにかけて干すのはNG!平干し用の台や平干しのネットを使って衣類を平らに干すようにしましょう。
カシミヤブラシで風合いを戻す
カシミヤは水に濡れると表面の毛並みが寝てしまい、せっかくの風合いが失われてしまうことがあります。このような問題をクリアするためには、洋服ブラシで毛並みを再度整えてあげることが大切です。
ただし一般的な洋服ブラシ(毛質の硬すぎるもの、埃取りだけのもの)等は使うことができません。摩擦による力が強すぎて、毛玉を作ってしまうのです。カシミヤには、馬毛等の獣毛を使った「カシミヤ対応のブラシ」を使いましょう。
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4.重要なのは「シミ特定」と「早期対策」
カシミヤはデリケートな素材なので、しみ抜きには強力な酵素入りの洗剤や溶剤を使うことができません。ご自宅でのしみ抜きに使えるのは「洗濯用の中性洗剤」が限界です。
そのため、シミの原因によってはカシミヤのシミがきれいに落としきれない場合があります。
【落としやすいシミ】
付いたばかりの水溶性のシミ
● ジュースのシミ
● お酒のシミ
● 醤油のシミ 等
【落としにくいシミ】
油の成分が多い油溶性のシミ
● マヨネーズのシミ
● ドレッシングのシミ
● ファンデーションのシミ
【落とせないシミ】
水にも油にも溶けないシミ等
● 泥汚れ
● 変色しているシミ
● インクのシミ
● 時間がたった古いシミ
シミの原因が「落とせない」場合、またシミの原因がわからないという場合には、ムリにカシミヤのしみ抜きをご自宅で行わず、早めにクリーニング専門店に持っていきましょう。
また「落としにくいシミ」の場合も、できれば初手からクリーニング店に持っていくことをおすすめします。万一しみ抜きに失敗して輪ジミや風合いの損失などが起きてしまっている場合、クリーニングの専門店でもそれを元に戻すことは難しいためです。特にパーティー等に着用する大切な衣類や、型崩れしやすいジャケット類等は、しみ抜きに強い専門店に依頼をした方が良いでしょう。
乾いたシミはクリーニング店へ
比較的落としやすいシミの原因の場合でも、時間が経てば断つほどにシミは落ちにくくなります。シミが付いて完全に乾いてしまった場合(シミが付いてから1日~2日以上経過させた場合)には、自宅での処理は難しいです。この場合もクリーニング専門店に頼んだ方が無難と言えます。
カシミヤを自分でしみ抜きする場合にはスピードが命!カシミヤを着た日は帰宅後によく衣類の状態をチェックして、シミが付いていないかをしっかり確認しましょう。
おわりに
高級かつ繊細なカシミヤは、クリーニング専門店でも取扱いが難しい素材のひとつです。面倒かもしれませんが、カシミヤ用ブラシ等の専用アイテムの準備とブラッシングには手を抜かず、風合いを綺麗に保つことを心がけましょう。
カシミヤ衣類のしみ抜きを専門店に依頼する場合にも、できれば高級衣類・ブランド衣類等の取り扱いに慣れている店舗を選ぶことをおすすめします。