ゲレンデで映えるスキーウェアやスノボウェア。転んでも付くのは真っ白な雪なのでウェアは汚れなそうなイメージがありますが、実は一度使ったスキーウェアには様々な汚れが付いています。
スキーウェアのお手入れと言うと、クリーニング店に出すのが一般的です。ただスキーウェア・スノボウェアの種類によっては、シミ・汚れを自宅でしみ抜きすることもできるんですよ。ここではスキーウェアに付く汚れの種類別に、3つのシミ抜き方法を紹介していきます。
- まずはスキーウェアの洗濯表示をチェック
- 1.スキーウェアの食べこぼしシミや皮脂汚れにはキッチン洗剤
- 2.泥汚れがついたスキーウェアには衣類用ブラシ
- 3.リフトのオイル染みにはオイル溶剤でシミ抜き
- おわりに
まずはスキーウェアの洗濯表示をチェック
スキーウェアのシミ抜きに入る前に、ウェアの洗濯表示を確認しましょう。
スキーウェアは原則として裏地・表地の間に中綿を挟み込み、接続部や表面には樹脂によるコーティングを行う構造になっています。
コーティングの種類や中綿の素材等によっては、水洗いができなかったり、家庭での水洗いには適さないということもあるのです。
「水洗い禁止」のスキーウェアをムリに家で洗うと、加水分解によって裏地・表地の間に気泡がうまれて表面が膨れてしまったり、樹脂が剥がれて表面がボロボロになってしまうことがあります。
【シミ抜きができない・しない方が良いウェア】
- 洗濯表示に水洗いマークが無い
- 洗濯表示にドライマークしか無い
- 中綿に品質の高い羽毛が使われている
- 一部に皮革(革)が使われている
上のような製品については、汚れに気づいた時点で早めに専門業者に依頼をした方が良いです。
1.スキーウェアの食べこぼしシミや皮脂汚れにはキッチン洗剤
食事の時についた食べこぼしのシミ、休憩中についたコーヒーのシミ。胸周りや袖口等に飛んでいませんか?また何度もスキーウェアを着ていると、皮脂による汚れも気になりますよね。これらのスキーウェアのシミ抜きには台所用洗剤を使うのが便利です。
【用意するもの】
- キッチン用・食器用洗剤(液体タイプ・中性のものが理想的)
- バスタオル
- タオル 3~4枚
- 洗濯用ネット
- 洗面器またはバケツ(洗面台ボウルでもOK)
- 洗濯用の中性洗剤(おしゃれ着洗い用のもの)
【台所洗剤を使ったスキーウェアのシミ抜き手順】
- フードやベルト等は、あらかじめすべて外しておきます。
- バスタオルを敷いてから、スキーウェアを広げます。
- タオルをお湯で濡らして、固く絞ります。
- 絞ったタオルでシミがある部分を軽く叩きます。
- キッチン用の洗剤を直接塗りつけて、優しくもみこみます。
- 15分~20分程度放置しておきます。
- 軽くすすいでシミの状態をチェックします。
- 洗面器に35℃前後のぬるま湯をはって、中性洗剤を適量入れます。
- 洗濯用ネットにスキーウェアを畳んで入れます。
- 洗面器のお湯にスキーウェアを漬け込んで、やさしく押し洗いします。
- 汚れが取れたら押し洗いですすぎをします。
- 洗濯ネットに入れたままで1分程度軽く脱水します。
- タオルで両側から挟んで、残った水分を吸い取ります。
- 陰干しをして十分に乾かします。乾燥機は使用しないでください。
※キッチン洗剤では変色・色落ちする製品もあります。事前に目立たない箇所で変色テストを行いましょう。不安な場合にはシミ抜きに作用の穏やかな洗濯用中性洗剤を使用してください。
※全体を洗う仕上げ洗いは必ず行ってください。部分洗いだけで済ませると輪ジミになることがあります。
2.泥汚れがついたスキーウェアには衣類用ブラシ
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転んだり座った箇所によっては、スキーウェアに泥汚れ・泥ハネができてしまうこともありますよね。
泥ハネは見た目が汚いのですぐに取りたくなりますが、まずはグッとガマンを。濡れた範囲が大きかったり、泥がべっとりついた場合は別ですが、軽いものなら応急処置をせずに乾かした方が処理が早いです。その場でティッシュ等で拭き取らずに、そっと乾かしておきましょう。
乾いて剥がれやすくなった泥汚れは、毛の柔らかい衣類用ブラシ(または洗濯用ブラシ)で落としていきます。
【用意するもの】
- 衣類用ブラシ・馬毛のもの(洗濯用ブラシでもOK)
- 洗濯用の中性洗剤
- 洗濯用ネット
【ブラシを使ったスキーウェアのシミ抜き手順】
- スキーウェアはハンガー等にかけて陰干しし、シミをよく乾かしておきます。
- 馬毛の柔らかいブラシで、シミの部分を軽く履いて、砂を掻き出します。
- シミがある部分の裏側からトントンと指で弾いて、繊維の奥に入っている砂を取り出しやすくします。
- もう一度ブラシで汚れを取り除いていきます。
- しっかりと砂の汚れを取ってから、お湯で軽くシミがあった部分を濡らします。
- 洗濯用の中性洗剤の原液をシミにつけて、洗濯用ブラシで洗うかごく優しく揉み込みます。
- ぬるま湯で軽くすすいでから、スキーウェアを洗濯用ネットに入れます。
- 手洗いで全体を洗って仕上げます。手洗いの方法は上の「キッチン洗剤のシミ抜き方法」の工程8)~14)と同じです。
※歯ブラシ等の硬い毛質のブラシを使うのはNGです。表面を傷めてしまうことがあります。
※泥ハネの箇所が多い場合、泥汚れの大きさが直径2~3センチ以上ある場合は、自宅では泥汚れを取り切れない可能性が高いです。ムリをせず、専門業者に依頼しましょう。
3.リフトのオイル染みにはオイル溶剤でシミ抜き
リフトから垂れてくるオイルや機械油のシミ、結構目立ちますよね。これらの油系のシミはとてもガンコなので、一般的な洗剤だけでは落とし切ることができません。
こんな時に便利なのが、カーケア用や自転車ケアに使う清掃用のスプレー(溶剤)です。これらのオイル系溶剤は元々機械油を溶かし出すために使うものなので、リフトのオイル等を取るにはピッタリというわけですね。
【用意するもの】
- カーケア用の清掃スプレー(溶剤)
- タオル(汚れても良いもの)
- 古い歯ブラシ
- キッチン用の洗剤
- 洗濯用ネット
- 洗濯用洗剤(中性タイプ)
【オイル溶剤を使ったスキーウェアのシミ抜き方法】
- 機械油のシミがついた部分に溶剤をふきかけます。
- 古い歯ブラシで軽くトントンと叩きます。
- 汚れても良いタオルで優しく拭いて、汚れをタオルに移します。
- スプレー→歯ブラシ→タオルを何度も繰り返して、汚れをタオルにどんどん移していきます。
- 十分に汚れが取れたら、キッチン用洗剤の原液をシミがあった部分に付けます。
- お湯を少量かけてから優しく揉み込んで、溶剤の成分を取ります。
- 軽くすすいでから、折りたたんで洗濯用ネットに入れます。
- 全体を洗濯用洗剤(中性)で仕上げ洗いします。手洗いの方法は上の「キッチン洗剤を使ったシミ抜き方法」の工程8)~14)と同じです。
※溶剤スプレーのみでのシミ抜き(洗剤洗い・水洗い無し)は避けた方が良いです。成分を繊維に残したままで保管すると、溶剤の成分が新たなシミ(酸化によるシミ)を作ってしまいます。
※溶剤で落とせるのは比較的新しいシミです。いつ付いたかわからないシミ、付いてから時間が経って乾燥した機械油のシミは落とすことができません。
おわりに
スキーウェア・スノボウェアのシミ抜きは、ウェアの劣化を早めてしまうことがあります。あまり頻繁にシミ抜き・洗濯をしないで、ワンシーズン1回程度に留めるのが理想的です。
またすでにウェアが古くなっている場合には、ムリに自宅でのシミ抜き・洗濯は避けた方が良いでしょう。表面が白っぽくなっていたり、粉っぽさを感じたら表面の樹脂加工が剥がれてきている合図。ウェアがもろくなっているので、洗うことはできません。
「ウェアの状態が自分では判断できない」「新しいウェアだから傷ませたくない」という時は、ムリをせずに専門のクリーニング店に相談してくださいね。