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着物の裏地・胴裏はシミ抜きできない?気になる時の3つの対策

着物胴裏のシミ

着物の胴部分の裏地のことを「胴裏(どううら」と言います。この胴裏に黄ばみや茶色いシミを発見して、気になっている…という人、多いのではないでしょうか。胴裏のシミ抜き方法をお探しでネット上で質問されている人も少なくないようです。

ここでは着物の裏地・胴裏のシミについて、シミ抜きができるのか、またシミ抜き以外の対策方法はあるのかという点を、着物初心者の人にもわかりやすく解説していきます。

着物の胴裏・裏地はシミ抜きができない?

着物裏地のシミ

結論から言うと、着物の裏地(胴裏)はシミ抜きをすることができません。

これだけ言われると「えー、お店の有料サービスを使わせようとしたウソなのでは?」と思う人も居るかもしれませんね。

ところが着物の裏地については、プロのお店でもシミ抜きNG。残念ながら、「現在の裏地」をキレイにすることは専門家でもできないんです。その理由について解説します。

着物の胴裏シミは酸化シミ(黄変)

着物の胴裏にできた黄ばみや茶色のシミは、一般的な食べこぼし等のシミとは成り立ちが違います。胴裏のシミは「黄変(おうへん)」という、酸化してできた古いシミです。

胴裏には汗の成分が溜まりやすく、マグネシウム・ナトリウム等のミネラルが繊維に残っています。これらの汚れは目には見えませんが、長い時間をかけて少しずつ酸素と結びつき、繊維を黄色~薄い茶色、さらには焦げ茶色へと変色させてしまうのです。

黄変(おうへん)した古い酸化シミは、ベンジンやアルコール、着物のしみ抜き剤といった一般的なシミ抜き対処法では落とすことができません。

漂白が必要だけど破れてしまう

一般的なシミ・汚れは、汚れの元を取り去ればキレイにすることができます。しかし黄変(酸化した変色シミ)は、汚れを取るだけではキレイになりません。漂白して、変色した部分を一度完全にリセットしなくてはならないんです。

ところが…着物の裏地(胴裏)は、表地に比べると生地が薄いですよね。その分だけ、漂白剤等のダメージにはとても弱いです。

つまり裏地に漂白を行うと、裏地が破けてしまったり、その部分だけ穴が空いてしまうことに。

ですから「着物の裏地については一切のシミ抜きができない」ということになります。

クリーニングでもシミ抜きできないの?

酸化したシミ(黄変)を取り去ることは、着物のクリーニング業界では「黄変抜き(おうへんぬき)」と言います。熟練の職人だけができる、とても難易度の高いワザです。

ところがこの熟練の職人でも、胴裏(裏地)については黄変抜きができません。どうしても生地が弱くなってしまうんですね。

そのため悉皆屋(しっかいや:着物のお手入れを総合的に扱う専門業者)やクリーニング屋さんでも、着物の胴裏・裏地のシミについては「お断り」となっています。

けっしてお客様に意地悪をしているわけではありません。「どうしても物理的にシミ抜き対応ができない」ということなんです。

 

着物の胴裏・裏地にシミを見つけたら?3つの対策

さて上で解説したとおり、着物の胴裏・裏地については「シミ抜き」という対策を行うことができません。では着物の裏地に黄ばみやシミを見つけたらどうしたらいいのか?具体的には3つの対策が挙げられます。

1.シミを増やさないように着続ける

【こんな時向けの対策です】

  • 安価な着物なので気楽に着続けたい
  • 黄ばみ
  • シミの程度が軽い

1つ目は「胴裏のシミはとりあえずアリ」ということにして、着物を着続ける方法です。意外とこれは多くの人がやっています。着物に詳しい人なら「胴裏は黄ばみ・シミができるもの」という感覚をお持ちです。アンティーク着物等の黄ばみやシミであれば、とりあえず着続けるというのも手なんです。

胴部分の黄ばみ程度なら、着てしまえばわかることもありません。ただ黄変(黄ばみ・シミ)ができている場合、次のようなメンテナンスはキチンと行いましょう。

汗抜きクリーニングで表地をキレイに

胴裏にシミができたということは、汗汚れが表地に付いている可能性が考えられます。放っておくと今度は、表地にトラブルが起こる可能性も。汗の成分は丸洗い(ドライクリーニング)だけでは落ちないので、汗抜きクリーニングをすることをおすすめします。

陰干しを定期的に行う

着物の胴裏にシミができているということは、カビや虫食い等のリスクもやや高いということです。年に3~4回は陰干しを定期的に行って、着物にこもった湿気をとりましょう。

また着物を着用した後もキチンと汗抜き・シミ抜き・陰干しといったお手入れを行い、新たな汚れを増やさないことが大切です。

黄変の状態を定期チェックする

黄変の進み具合は常に確認しておくようにしましょう。お手入れをせずにしまいっぱなしの着物は、一気に黄変が進んでしまうこともあります。

黄変は黄色いシミの色が段々茶色くなり、さらに色が濃くなるタイプのシミです。黄変が促進されると布地自体が脆化(もろくなる)してしまい、トラブルのリスクが増えます。

 

2.着物を仕立て直す

【こんな時向けの対策です】

  • 振袖等の礼装着物や高級着物の胴裏にシミがある
  • 新たに娘様やお孫様に着物を受け継がせたい
  • シミ(黄変)の程度が酷い
  • 薄色の着物である
  • 着物のサイズ変更もしたい

着物の胴裏のシミの範囲がとても広かったり、色が濃くなってしまっている…このような場合、黄変(シミ)の被害が表地にまで移ってしまう恐れがあります。

特に花嫁衣装等の白色の着物、薄い色の着物だと、裏地から始まったシミ被害がひどくなるほど目立ってしまいやすいです。振袖や留袖等の礼装用着物、今後は新たなご家族がお召しになる着物等の場合、着物を「お仕立て直し」することをおすすめします。 

【仕立直し】

着物を一度ほどく

反物の状態に戻す

職人による洗い張り(水洗い)を行う

新たな裏地を付けて着物に仕立てる

お仕立て直しは時間や手間がかかりますが、着物が新品のように蘇るのがメリットです。仕立て直しの際に「洗い張り」をすることで、表地の汚れもスッキリと取れ、カビ発生等のリスクも下がります。

お仕立て直しなら、「受け継がせたい人の背が高くて着物のサイズが合わない」という時や、「年齢を経たら体が小さくなって、着物がブカブカになってきた」という時のサイズ変更も一緒にできます。

着物の場合、サイズを小さく直すだけでなく大きく仕立て直すことも基本的にはできます。

 

3.胴裏だけ取り替える

【こんな時向けの対策です】

  • メンテナンスの費用を抑えたい
  • 大切な着物の胴裏にシミがある
  • シミ(黄変)の程度がやや酷い
  • 薄色の着物である
  • 着物を長く着続けていきたい

「着物を仕立て直すのはコスト的にちょっと…」という時にオススメなのが、胴裏だけをお取替えする方法です。着物を全体的にはほどかないので工程も少なく、費用も安く抑えることができます。

胴裏の取替のデメリットとしては、どのお店でもやっているわけではない、というところでしょうか。着物のお手入れや加工に強いお店でないと断られてしまうことがあります。

悉皆屋(しっかいや:着物のお手入れの総合専門業者)のような、様々な着物のクリーニング・リフォームが行えるお店に相談すると良いですよ。

 

おわりに

着物の裏地(胴裏)にシミがある場合の対処法はお役に立ちそうですか?同じ「着物のシミ抜き」でも、表地と裏地だとシミの対策がかなり違ってきますので、十分に注意しましょう。

 

記事監修:京都着物悉皆屋【創夢】様

記事監修:京都着物悉皆屋【創夢】様

着物お手入れ【創夢】様

きもの創夢』では、お仕立て直しや胴裏の交換等、着物の裏地・胴裏シミの対策を幅広く承っています。「着物の裏地のシミがひどい!」という時には、ぜひお気軽にご相談ください。