ニットとは、1本の糸を輪のように編みながら作られた生地のこと。ニット素材のトップスのことは「セーター」と呼ばれますが、ニット素材のスカートやマフラー、ストール等の小物類もあります。
柔らかで温かみのある雰囲気が魅力のニット達。でも一度シミが付いてしまうとシミ抜きが難しいのがニットの難点です。自分でニットのシミ抜きができれば、クリーニング代も抑えられますよね。
ここでは自分でできるニットのシミ抜き方法を2種類に分けて解説していきます。またニットをシミ抜きする時の注意点も合わせて紹介しますので、失敗を避けるためにもぜひ最後まで読んでみてください。
そのニットは水洗いOK?
ニットのシミ抜きを始める前に、まずはその衣類の水洗い対応を確認しておきましょう。水洗いができるニットかどうかで、できるシミ抜き方法も変わってきます。
洗濯表示に「水洗いマーク(洗濯機マーク)」または「手洗いマーク」があれば、水洗いはOK。
反対に「水洗いNG」のマークがあり、「ドライマーク」しか無い場合は、水洗いはできません。
手編みのニットは?
手編みニットの場合は、お使いになった毛糸の表示をご確認いただき、素材等から水洗い対応を判断することをおすすめします。
なお手編みニットは基本的に、水洗いをするとやや縮みます。
型崩れ・縮みを絶対に起こしたくない場合には、水洗いをしない方法を選んだ方が無難です。
水洗いできるニットのシミ抜き方法は?
ウォッシャブルウール等の水洗いできるニットの場合、しみぬき方法は意外とカンタン。シミの種類や対応の速さによっては、あっという間にシミが落とせることもあります。
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【用意するもの】
- 洗濯用の中性洗剤(液体タイプ・おしゃれ着洗い用)
- 洗濯用ネット(ニット用のもの)
- 古い歯ブラシ(毛がやわらかいもの)
- 平干し用のアイテム(ニット用平干しネット等)
- 洗面器
- バスタオル2枚
- 洗面器に水を入れて、中性洗剤を適量溶かします。
- ニットのシミのある部分に少量の水をかけて、軽く湿らせます。
- シミ部分に①の洗濯液をつけて、やさしくつまみ洗いをします。汚れが奥まで入り込んでいる場合は、歯ブラシでごく優しくトントンと叩いて、汚れを浮かせます。
- シミが目立たなくなったら、水で全体をすすぎ洗いします。
- シミが取れたら全体洗いで仕上げましょう。ニットを洗濯ネットに畳んで入れてから、中性洗剤を溶かした洗濯液に漬けます。
- 30秒程度、やさしく押し洗いをします。ゴシゴシこすらないこと。
- そのまま洗濯機の脱水で20秒脱水させます。
- 水を使ったすすぎと20秒の脱水を2回くりかえします。
- 脱水ができたらバスタオルで衣類を挟んでポンポンと叩き、残った水分を吸い取ります。
- ニット用の平干しハンガーや平干しネットに衣類を平らに置いて、形をよく整えます。
- 直射日光のあたらない風通しの良い場所で十分に陰干しします。
※30℃以上のお湯を使うのはNGです。繊維の素材にかかわらず、ニットの縮みが起きやすくなります。
※衣類によっては色落ちが起きる可能性があります。不安な場合は目立たない場所に洗濯液をつけて、変色・色落ちテストを事前に行いましょう。
洗えないニットのシミ抜き方法は?
水洗いができないニットの場合、水分を与えすぎると縮みの原因になってしまいます。できるだけ水分を与えすぎなように気をつけながら、やさしくシミ抜きを行っていきましょう。
【用意するもの】
- 洗濯用の中性洗剤(液体タイプ)
- 平干し用のアイテム(平干しハンガー、平干しネット等)
- タオル数枚
- バスタオル
- 洗面器
- バスタオルを敷いておき、その上に汚れが衣類を広げます。
- 洗面器に水をはって、洗濯用洗剤を適量溶かしておきます。
- 別のタオルを②の洗濯液に漬けて、固く絞ります。
- シミの部分を③のタオルでトントンと軽く叩いていきます。汚れをタオルの側に移すような感覚で、つねにタオルのキレイな面をあてるようにしましょう。
- 乾いたタオルでシミ部分を叩き、水分を吸い取ります。
- 「洗濯液のタオルで叩く」→「乾いたタオルで叩く」を繰り返して、少しずつ汚れを取っていきます。
- シミが目立たなくなったらもう一度別のタオルを水で濡らして絞ってからシミ部分を叩き、洗剤の成分を取ります。
- 乾いたタオルで濡らした部分を挟み込むようにして叩き、十分に水分を取ります。
- 平干しネット等に衣類を平らに置いてから形を整えます。
- 陰干しでしっかりと自然乾燥させます。
※作業のたびにこまめに乾いたタオルで水分を取りましょう。濡らし過ぎはニットを縮ませる原因になります。
※ニットを強くこすったり強く叩くのはNGです。毛羽立ち・ピリング(毛玉)の原因になります。
※色落ち・変色・縮み等の変質が起きる可能性があります。不安な場合には、目立たない場所での事前テストをおすすめします。
※このシミ抜き方法は、ウール・アクリル・コットン等の一般的なニットに使用される素材を想定しています。シルク入りのニット・金糸入り等の特殊素材を用いたものには使用できません。
※刺繍やスパンコール・ビーズ縫い付け等の特殊加工部はシミ抜きができません。
ニットのシミ抜きができないことも?
ニットは収縮(ちぢむこと)が起きやすいデリケートな生地なので、ご家庭でのシミ抜きの時には次のような洗剤・溶剤が使用できません。
そのため上でも解説したとおり、基本的に使えるのは洗浄力が穏やかな中性洗剤のみとなります。このことから、付いたシミの原因によってはシミ抜きが上手に行えない場合もあるのです。
水溶性シミは早めの対策ならOK
- 味噌汁のシミ
- ジュースのシミ 等
上のような水溶性のシミは、シミの範囲がごく小さく、シミが付いてすぐ等の早めにシミ抜きを行う場合であればシミ抜きに成功するパターンが多いです。
ただし「おしっこのシミ」「汗ジミ」等、大量の水分を一度に吸わせてしまったシミの場合は要注意。
水洗いできないタイプのニットの場合、汚れの成分がニットの奥に残り、変色・カビ等の原因となりやすいです。
油溶性シミはやや難しい
- ファンデーションや口紅のシミ
- ドレッシングのシミ 等
油溶性のシミは油分を多く含むため、水と中性洗剤だけでは分解しきれないケースも多いです。
特に色素成分が多いメイク系のシミであったり、汚れの範囲が広い場場合には、ニットのシミ抜きに失敗する確率が高くなります。
不溶性シミ・変色シミはNG
- インクの汚れ
- 泥汚れ
- 時間が経ったシミ(黄変等)
- 変色したシミ
水にも油にも溶けない汚れは、ご自宅では落とすことができません。また汚れが付いてから時間が経ってしまったシミは、繊維にしっかりと吸着してしまっているため、中性洗剤では剥がせなくなります。
こんな時には専門店へ!
シミの原因が「落とせないもの」の場合には、すみやかにクリーニングの専門店へ。また「落としにくいシミ」の場合も、ニットのシミ抜きの失敗を防ぎたいのであれば最初から専門店に持ち込んだ方が無難です。
また「シミの原因がわからない」「いつ付いたシミなのかが覚えていない」という時にも、自分でのムリなシミ抜きは避けた方が安心。特に原因不明の時は、原因がわからないことを良い添えて専門店に相談しましょう。
おわりに
ニットのシミは時間が経てば断つほど繊維に強く絡みつき、取れにくいシミへと変貌していきます。「ニットを汚した!」と思ったら、自分でシミ抜きする場合でも専門店へ持ち込む場合でも、できるだけ早く対処することが大切です。