シャリッとした独特の手触りが魅力の麻(リネン)。ほどよく風を通すことから、特に夏ものの衣類やインテリアグッズ等にも多く使われていますね。
またリネンの素朴な風合いはナチュラルファッションとも相性が良く、10年以上前から「リネンファッションアイテム」は定番人気製品です。
しかし「シミ」ができてしまった時の対処がなかなか難しいのがリネンの特徴でもあります。今回は麻(リネン)の染み抜き方法についてご紹介していきましょう。
麻・リネンの染み抜き方法は?
麻・リネン地にシミができた場合には、以下のような方法で染み抜きを行います。
キッチン用洗剤を使う方法
紅茶・コーヒー・醤油等の水溶性のシミは、早い段階でキッチン用中性洗剤を使うことで、比較的カンタンに染み抜きを行うことができます。
用意するもの
・綿棒かガーゼ
・タオル
・洗濯用中性洗剤
※この染み抜き方では、水洗いが必須です。水洗いできない製品は染み抜きができません。洗濯表示を事前にご確認ください。
※濃色製品・生成り等の場合、色落ち・変色が起きることがあります。事前に目立たない箇所でテストを行うことをおすすめします。
シミ抜きの手順
- シミの裏側にタオルをあてます。
- キッチン用洗剤をシミ部分に垂らします。
- 綿棒かガーゼで、ごく優しくシミ部分を叩きます。毛羽立ちの原因となるので、こすらないようにしましょう。
- 水で濯いで汚れをチェックし、汚れ残りがある場合には2.~3.を繰り返します。
- 最後に洗濯用中性洗剤で全体を洗って仕上げます。
酸素系漂白剤を使う方法
マヨネーズやワイン等、比較的ガンコなシミに対して使う方法です。
用意するもの
・キッチン用洗剤(中性・液体タイプ)
・綿棒・ガーゼ
・タオル
・洗濯用中性洗剤
※この染み抜き方では水洗いの工程が外せません。洗濯表示で水洗いができるかどうか、必ず確認しましょう。
※染色方法によっては、酸素系漂白剤・キッチン用洗剤で色落ち・色抜けが起きます。必ず目立たない場所で事前にテストを行ってください。
シミ抜きの手順
- シミの裏側にタオルを当てます。
- 酸素系漂白剤をシミ部分に少量付けます。
- 綿棒もしくはガーゼで、シミ部分を軽く叩きます。
- キッチン用洗剤をシミ部分に少量付けます。
- 綿棒もしくはガーゼで、更に軽く叩きます。麻は摩擦による色落ち・毛羽立ち(白化)を起こしやすいので、絶対にこすらないでください。
- 汚れが浮いたら、水でよく濯いでチェックをします。汚れが取れない場合には、2.~5.をもう一度行います。
- 洗濯用中性洗剤で、全体を洗濯機洗いもしくは手洗いして仕上げます。漂白剤の成分が繊維に残ると変色の原因になるので、必ず一度全体洗いを行いましょう。
リネンのお洋服を真っ白にしようと漂白剤つけおきしたら襟首や袖口が真っピンクに😭ググったら、日焼け止めの成分と化学反応を起こしてピンク色になっちゃうらしい…洗濯してからやったのに落ちてなかったのかな…今、ナノックスさまに浸け置き中。どうなる事やら~お気に入りのお洋服だったのになぁ😭
— あい (@ai_kaz0617) 2017年5月24日
むむむむむ〜orz
— あいすぶれいく (@icebreak39) 2014年7月22日
わたしの大好きな、
リネンのキュロット。
漂白剤が飛んで白くなってしまいました(>_<)
こうなってしまったものを何とかできるプロフェッショナル、ご存知の方いらっしゃいますか〜?
ぐぇーん、うわ〜ん(激泣)
自宅でシミ抜きできない麻もある?
麻(リネン)は、原則としては水洗いや手洗い等に対応している素材です。しかし製品によっては水洗い不可・家庭での洗濯不可となっているものもあります。
縮み・型崩れがNGの製品
麻(リネン)は水を通すことによる収縮・伸縮をしやすい製品です。ほとんど水通しをしていない生地の場合、水洗いをするとタテ方向に5%~10%近い収縮を起こすこともあります。また水を多く含んだ状態で干しておくとタテ方向に伸びてしまい、形が崩れることもあります。
カジュアルなシャツやシーツ等であれば、多少の伸縮が起こっても日常的な着用に問題が起きることは無いでしょう。しかし以下のような製品の場合、1センチ~2センチのサイズ伸縮がシルエットを崩し、その後の着用を難しくしてしまうこともあります。
・コート類
・ドレスパンツ
・フォーマル風のワンピース
・着物、帯等の和装小物
型崩れ・多少の縮み等が気になる場合には、ご自宅でのシミ抜きは避けた方が安心です。
濃色・生成りの製品
麻(リネン)は綿に比べて染色剤の定着度が弱いのが特徴です。漂白剤等で染色によっては色が抜ける・変色が起こる他、蛍光増白剤を入れた洗剤でも風合いが損なわれることがあります。
色味が濃い製品の場合には、色抜け・変色・色の風合い変化等が目立ちやすいです。特に天然の染色剤を使っている場合に、ご自宅でのシミ抜きを行うことはおすすめできません。
また全く色を入れない「生成り」の製品も、洗剤・漂白剤による色味の変化を強く受けます。この他、摩擦による毛羽立ちで素材が白化してしまうと、状態を元に戻すことが非常に難しくなります。
アイロンがけが必要な製品
麻(リネン)はシワになりやすく、更にシワが取りにくいのが特徴的な素材です。洗濯(シミ抜き)を行った際にも、洗濯・脱水時のシワができます。シワをキレイに伸ばすにはアイロンがけが必要になりますが、立体的な製法の製品ですと、ご自宅で完全にシワをキレイに取り除くのが少々困難になります。
「多少のシワ感を楽しみながら着る」といったカジュアルな製品でしたら、水洗い後の脱水を弱めに行って干すことで、ある程度シワができるのを防止できます。
しかしシワ感が好まれないジャケット・スラックス・キレイ目のワンピース等の場合には、プロにプレスやアイロン仕上げを依頼した方が良いでしょう。
上記のような製品は、ご自宅での染み抜きを無理に行うと衣類自体の風合いをダメにしてしまう恐れがあります。特にワンピース・着物等の高級衣類の場合には、無理にご自宅で染み抜きをなさらず、専門のクリーニング店に依頼をすることをおすすめします。
おわりに
独特の光沢感やシャリ感が美しい麻素材。しかし染み抜き・洗濯であまり強く摩擦の圧力をかけると毛羽立ちで白っぽくなったり、光沢感が失われてしまいます。
洗い込んでクタッとしたリネンの風合いを楽しむこともできますが、フォーマルらしいパリッとした麻の良さを長持ちさせたい場合には、ご自宅での洗濯・染み抜きは避けた方が無難です。
使用するアイテムの雰囲気や染色等に合わせて、適切な対処法を取ることが大切と言えるでしょう。