シミや黄ばみの対策として最もメジャーな方法である「漂白剤」。でも漂白剤の使い分けや、漂白効果を上げる使い方については意外と知られていないものです。ここでは漂白剤の種類や効果的な使い方、メリット・デメリットについてご紹介していきます。
漂白剤を使い分けよう!
漂白剤には大きく分けて「酸素系」と「塩素系」の2種類があります。また酸素系漂白剤には「液体タイプ」と「粉末タイプ」があるので、用途に応じて使い分けると便利です。
1)酸素系漂白剤(液体タイプ)
主に過酸化水素で構成された液状の漂白剤です。漂白効果はやや穏やかで、多くの場合には洗濯用洗剤・中性洗剤などと同時に使用することが推奨されています。
色柄ものに使用できるものも多く、家庭では最も使用範囲が広い漂白剤と言えるでしょう。少量のみを使用することができるので、小範囲の染み抜きにも便利です。
2)酸素系漂白剤(粉末タイプ)
水(もしくはお湯)に溶かして使用するタイプの漂白剤です。主に過炭酸ナトリウムで構成されており、液体タイプに比べてやや漂白効果が高くなっており、単独で漂白効果を出せるものも多いです。
酸素系なので色柄モノにも使用可能できます。ただし小範囲の染み抜きにはあまり向いていません。原則としては黄ばみ対策等で浸け置きを行う際に使用します。
3)塩素系漂白剤
3つの中で最も漂白効果が強い漂白剤です。色素分解力が強いため、「真っ白い生地」にしか使用できません。色柄ものに使用するとその部分だけが色抜けを起こします。白いタオルや布巾等の漂白・除菌に向いたアイテムです。
漂白剤でのシミ抜き方法
最も家庭での使用頻度が高い漂白剤である液体タイプの酸素系漂白剤。ちょっとしたコツを押さえれば、漂白効果を上げてキレイに仕上げることができます。
- シミ部分を軽く濡らし、食器用中性洗剤で下洗いを行います。
- 歯ブラシもしくは綿棒で、シミ部分に漂白剤を塗り付けます。汚れた部分のみに使用をした方が生地の痛みや色ハゲを防げます。
- ドライヤーを使い、漂白部分の温度を上げます。高温を1~2分当てる程度でOKです。生地の温度が上がることで過酸化水素の分解力が高まります。
- 製品説明書に書かれた時間の放置を行います。
- 水で軽くすすぎを行い、状態をチェックします。落ちきっていない場合には、3)~4)を繰り返します。
- シミの色が取れたら、洗濯機洗いもしくは手洗いで全体を仕上げ洗いします。
漂白剤使用時の注意点
変色・色落ちテストを行う
生地や染色によっては、色ハゲ・色移り・変色の恐れがあります。使用前には目立たない場所で必ず変色テストを行いましょう。
塗り広げる範囲は小さめに
生地の痛みを防ぐためには、シミ範囲のみに漂白剤を塗布するのが理想的です。
水に濡れた状態の生地は漂白剤が浸透して広がりやすいので、最初は小さめに塗布をして、広がりをチェックしてから徐々に塗り広げていきます。
漂白剤のメリット
価格が安い
酸素系漂白剤(液体タイプ)の標準価格は、ボトル本体入りのもので200円~300円。詰替えタイプは150円~180円程度で購入できます。濃縮タイプも増え、少量でもキチンと漂白してくれるコストの良さが魅力です。
また塩素系漂白剤は500mlボトル100円以下のものも登場する等、非常に安価。布巾等の日常的に使用するものの除菌・シミ抜きが気軽にできる価格ですね。
漂白剤のデメリット
色柄が滲む・変色する可能性がある
「塩素系は色落ちする」「酸素系なら大丈夫」こう考えていらっしゃる方も多いと思います。しかし酸素系漂白剤でも、生地や染色によって変色・色移り・色ハゲ・柄滲み等を起こす可能性はあるので注意が必要です。
付着した当初は色落ちが起きなくても、放置している間に色が抜けてしまう可能性があります。
そのため変色・色抜けのテストは本処理で行う放置時間と同様の時間を置く必要が出てきます。
ボタン・ファスナーには要注意!
酸素系漂白剤に含まれる過酸化水素や過炭酸ナトリウムとは、「酸化」をさせる作用があります。つまり金属を変質させてしまうのです。
ボタンやファスナー等の金属類に漂白剤が触れると、金属が著しく劣化をしたり、周辺の生地の色が変色してしまいます。
金属部がある衣類は、漂白剤での全体の浸け置き洗いをするのは厳禁です。また部分漂白を行う場合でも金属部に漂白剤が触れないよう、十分に注意を払ってください。
水洗いが必須
漂白剤を使用した場合には、必ず最後に水でのすすぎと仕上げ洗いを行う必要があります。洗濯表示で水洗い不可の製品には、漂白剤は使用できません。
変質する衣類がある
酸素系漂白剤でも、過炭酸ナトリウムを使用した粉末タイプ(アルカリ性漂白剤)はウール・絹等の動物性の素材には使用できません。少量でも動物性繊維が使用されていると衣類が激しく変質(縮み・劣化)を起こします。素材はよく確認してから使用しましょう。
生地を痛める可能性がある
特に金属染料を使用した生地の場合(金糸・銀糸等)には過炭酸ナトリウム・過酸化水素が化学反応を起こして生地を傷めます。
またシルク等のデリケート素材、シフォン素材などの薄い素材の場合、長時間放置や繰り返しての漂白で生地が薄くなったり、傷んでしまう可能性も考えられます。
おわりに
「色物・柄物でも大丈夫!」酸素系漂白剤のパッケージにはよくこういう宣伝文句が書いてありますね。これは確かに間違いではないのですが、「酸素系漂白剤なら何でも大丈夫」と考えた使用を行うのは少々危険と言えます。
シルクやカシミヤといったデリケート素材、浴衣等の天然染め、着物・ワンピース・ドレス等の高級衣類、刺繍や特殊素材が使われたもの…このようなものに対しては、カバーができないような変色や変質を起こしてしまう可能性もゼロではないのです。
特にファスナー・ジッパー・ボタンが付いた上質な衣類等については、ムリにご家庭で漂白を行うよりも、専門のクリーニング店に任せたほうが安心と言えるでしょう。