花火やおまつり、夏のおでかけにはやっぱり浴衣(ゆかた)を着たいところ。でも浴衣を着た後にシミを見つけたり、洗い方に困ったり…という人は多いのでは?普通の洋服感覚で浴衣をシミ抜きしたり洗濯したことで大失敗して、浴衣をダメにしてしまった…という人も少なくないようです。
浴衣は一般的な洋服に比べて生地も染料もデリケート。また洗い方によっては、一気に型崩れをしてしまうこともあります。
ここでは浴衣のシミ抜きや洗濯でとくに多い失敗を5つピックアップしながら、浴衣の正しいシミ抜き方法・洗濯方法について解説していきます。
- 1.浴衣のシミにおしぼりやウエットティッシュを使う
- 2.浴衣を普通の洗剤で洗う
- 3.浴衣のシミに漂白剤を使う
- 4.衿を「しつけ」しないで洗濯
- 5.浴衣の洗濯後にアイロンしない
- 6.古いシミやカビを自分でしみ抜き
- おわりに
1.浴衣のシミにおしぼりやウエットティッシュを使う
浴衣のシミの応急処置でやりがちなのが、お店のおしぼりや除菌用のウエットティッシュ等でシミを拭いてしまう方法です。一見するとキレイになりそうですが、実はコレはあまり良い応急処置とは言えません。
濡らして落ちないシミもある
浴衣の汚れには油分を多く含むものもあります。このような汚れは濡らしただけでは取れません!かえって汚れが広がってしまって、後からしみ抜きするのが大変になることもあるんです。
香料やアルコールで変色する
おしぼりやウェットティッシュにはアルコールや香料等が多く含まれています。デリケートな染料を使った浴衣だと、変色したり染料が流れて「にじみ」が起こることもあります。
乾いた布で吸い取っておこう
浴衣のシミの応急処置は、表面の汚れをティッシュ等で取って、水分が多い汚れは乾いた布で押さえて吸い取っておきましょう。本格的なシミ抜きは家に帰ってから行います。
2.浴衣を普通の洗剤で洗う
浴衣を洗おうとして、普段使っている洗剤をそのまま使おうとしていませんか?浴衣(特に木綿や麻素材のもの)は、一般的な洋服に比べて洗濯で縮みやすく、また色落ちもしやすいです。
次のような洗剤は浴衣の洗濯・シミ抜きでは使えません。
- 蛍光剤入り
- 酵素入り
- 弱アルカリ性/アルカリ性
中性タイプの洗剤なら安心
浴衣を洗濯する時には、中性タイプの洗剤を使うのが鉄則。「ファーファココロ」「エマール」「アクロン」等、おしゃれ着やウールも洗えるタイプの洗剤を選びましょう。
※浴衣の中には中性洗剤を使っても水洗いができないものもあります。必ず洗濯表示・素材等を確認の上で洗濯をしましょう。
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3.浴衣のシミに漂白剤を使う
浴衣のシミになんでも漂白剤をかけてシミ抜きしようとしていませんか?デリケートな浴衣にはこれもNG!色が薄くなったり、染料によっては色落ちしてしまうことがあります。
正しい浴衣のシミ抜き方法は?
浴衣のシミはその原因に合わせて、全体を洗う前に部分洗い(シミ抜き)しておくことが大切です。
【油性のシミの場合】
- マヨネーズのシミ
- オリーブオイルのシミ 等
油分が多く水に溶けにくいシミの場合には、先にベンジンで油性の汚れを分解しておきます。
- 下に汚れても良いタオル等を敷いておく。
- ベンジンを布に含ませて、汚れの部分を軽く叩く。
- 汚れが下に落ち、目立たなくなるまで優しく叩くのを繰り返す。
- ベンジンを再度含ませてから、濡れた部分を広げてぼかしておく。
- すぐに全体の水洗い(洗濯)に入る。
【水性シミの場合】
水分が多いシミの場合には、先に中性洗剤で部分洗いを行います。
- 中性洗剤を水で薄めたものを作っておく。
- 浴衣のシミの部分に1.の水溶液を垂らす。
- 水溶液がしっかり染み込むまで待つ。
- 乾いた布を上から乗せて優しく押さえ、水分と汚れを吸い取る。
- 「液を垂らす → 吸い取る」を何度か繰り返す。
- 汚れが取れたら、すぐに全体の水洗い(洗濯)に入る。
4.衿を「しつけ」しないで洗濯
浴衣のシミ抜きやその後の洗濯で多い失敗が「洗った後に衿(えり)がグチャグチャになってしまった」「衿の型崩れが戻らない」というものです。
衿は浴衣を着る時に一番形が目立つところ。また布を重ねて縫ってあるため、特に型くずれを起こしやすいところでもあります。「しつけ」等の対策を行わずに水洗いすると、ほぼ型くずれしてしまうと考えた方が良いでしょう。
洗う前に「しつけ」をかけよう
浴衣の型崩れを防ぐためにも、洗う前には衿に「しつけ」をかけておきましょう。衿元を木綿糸等で軽く縫っておくだけでOK。しっかりと縫い付けるのではなく、縫い目が3センチ程度のザクザクとした縫い方でかまいません。
しつけをかけるのが難しい場合には、安全ピン等で保定をする方法もあります。
ただこの場合はピンが外れやすいので、洗濯機での洗濯はやめて、手洗いで浴衣を洗いましょう。
5.浴衣の洗濯後にアイロンしない
浴衣のシミ抜き・洗濯の後ってアイロン必要ですか?という質問が時々ありますが、基本的には「必要」です。
特に木綿の浴衣・麻の浴衣は、洗うとどうしても縮みます。これを後から引っ張って伸ばすのがアイロンの役割です。また衿元周辺等は型崩れしやすいですし、裾等もクシャクシャになりやすいので、アイロンでキレイに仕上げておく必要があります。
「引っ張って伸ばす」という工程が必要なので、ハンガーにかけたままで蒸気をあてるだけのスチームアイロンでは意味がありません。
濡れた状態でアイロンするのがコツ
浴衣を洗濯し終わったら、まだ濡れた状態でアイロンをあてて、布を引っ張るようにアイロンをかけていきます。こうすることで縮んだ繊維をできるだけ元に戻し、ハリのある状態にしていきます。
形状加工有りならアイロン不要
一部のポリエステル浴衣や、絞りのウォッシャブル加工(形状記憶加工)がされている浴衣等は、洗った後にアイロンをかける必要がありません。お子様用の浴衣等、いちいちアイロンをかけるのがちょっと面倒…という場合には、このようなアイロンお手入れ不要の浴衣を先に選んでおくのも良い手です。
6.古いシミやカビを自分でしみ抜き
浴衣のシミの中には、自分ではシミ抜きができないものもあります。
乾いたシミ
汚れが付いてから数日~一週間以上が経過して、乾いて定着してしまったものは自分ではシミ抜きできません。
古いシミ
後から浮いてきたシミ、変色して目立つようになってきたシミ、きばみ、茶色の変色シミ等。これらは酸化でできたシミ(黄変や油シミ)なので、着物のクリーニングに相当強いお店でないとシミ抜きができないです。
カビによるシミ
黒カビ・青カビによるシミ等。白カビの発生していた箇所が後から黄色~茶色に変色することもあります。カビのシミの除去、カビ菌の除去は、ご家庭ではできません。
色素の多いシミ
ワインのシミ、ブドウジュースのシミ、ベリーソースのシミ、カレーのシミ、抹茶のシミ等。天然色素は衣類の繊維に素早く定着し、時間が経つと繊維を染めてしまっていることがあります。着物シミ抜き等に強いお店で、漂白や染色補正等をしてもらう必要が出てくることもあります。
このような「浴衣の取れないシミ」「難易度の高いシミ」を無理に落とそうとシミ抜き作業を繰り返すと、浴衣の表面が白っぽく毛羽立ったり、元々の色が色落ちすることも。あまりに酷いトラブルとなると、後からお直しをすることもできません。
対処が難しいシミについては、早めにクリーニング店に相談をしましょう。
おわりに
浴衣のシミ抜き・洗濯では「縮んだ」「型くずれした」「色落ちした」といったトラブルが特に多く見られます。一度はげしく縮んだり、衿をグシャグシャに型くずれさせてしまった浴衣は、仕立直し(縫直し)でもしなければ元に戻すことができません。
浴衣の中には、おしゃれ着向けに数万円~10万円近くもする高級浴衣もあります。大切な浴衣を縮ませたり型崩れさせることがないように、十分に気をつけましょう。