簡単 染み抜き クリーニング方法

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洗濯物を早く乾かすには?知っておきたい8つの裏技

洗濯ものを早く乾かす

お天気が悪くて部屋干しが続いたり、寒くて曇りの日が多かったり…こんな時って、洗濯物がなかなか乾かなくて困りますよね。

洗濯物が早く乾いてくれないデメリットは「取り込むのに時間がかかる」「お気に入りの服が着られない」だけではありません。雑菌が繁殖してイヤなニオイの原因になったり、最悪の場合には衣類にカビが発生してしまうことも。部屋干しや天気があまり良くない時でも、できるだけ早くサッパリ乾かすことが大切なんです。

洗濯物を早く乾かすには、実はいくつかのコツがあります。強力なガス乾燥機や浴室乾燥機が無くても大丈夫!ここではそんな洗濯物の干す時の裏技を8つご紹介していきます。

1.素材に合わせて「脱水」を変える


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洗濯物を早く乾かすために、まず見直したいのが洗濯機の「脱水」です。どの洗濯物も同じ脱水時間で取り出していませんか?

脱水は行いすぎるとシワになりやすいことから、メーカーでは洗濯機の脱水時間の標準設定をシワにならない程度の時間にしています。しかし次のような素材や衣類は特に水分を含みやすく、さらにしっかり脱水してもシワにはなりにくいという特性を持っています。

【乾きにくい素材の例】

  • パイル素材(タオル、シーツ等)
  • スウェット素材(パーカー、トレーナー、ジャージ等)

上のような製品であれば、通常よりも長めに脱水をかけてもシワシワになってしまう恐れは少ないというわけです。

乾きにくいタオルやシーツ・スウェット等は、他の製品よりも2~3分長めに脱水をかけるようにしましょう。

 

2.ピンチハンガーは「内側を小さなもの」に

 



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角型ピンチハンガーは、靴下やインナー、フェイスタオル等、小さめの洗濯物を色々干すことができるスグレモノ。どこのご家庭にもひとつはある洗濯グッズですよね。でもこのピンチハンガー、干し方にコツがあるって知っていましたか?

ピンチハンガーに洗濯物を干す時には、外側に長めのものを、内側に短めのものを干すようにしましょう。例えば外側にはフェイスタオルやブラトップ等の30~40センチ程度のもの、内側には靴下等の長さ20センチ前後のものを干すようにするわけです。

このように内側の長さを短くすると、空気の対流が生まれやすくなって、ピンチハンガーの内側も洗濯物が乾きやすくなります。全体に風が通りやすくなることで、洗濯物が早く乾くのです。


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3.タオルは「上下をずらす」か「ハンガー干し」

大きいバスタオルや長いスポーツタオル、どんな風に干していますか?前と後ろの長さを揃えて、ちょうど半分のところで垂らすように干している…一見するとスタンダードなこの干し方、実は一番「洗濯物が乾きにくい干し方」なんです!

乾きにくいタオルを早く乾かすには、タオルの内側を含む全体に風をよく通すことが大切。次のいずれかの干し方にした方が、洗濯物が早く乾きます。

 

片方を長く伸ばして干す

タオルを物干しにかける時には、床にタオルが届かないギリギリの長さにまで一方を伸ばし、反対側を短くしてからピンチで止めます。こうすることで「風が届きにくい内側の部分」の面積を最小限に小さくすることができ、タオルの乾きが早くなります。

ハンガーに肩掛けする

洗濯物がたくさんあるけれど、早くタオルを乾かしたい…そんな時は、コート用等の立体的なハンガーを使ってみましょう。ハンガーにコートを羽織らせる(肩掛けするイメージ)ようにしてタオルを掛け、正面で合わせて一箇所ピンチで止めます。

このように干すと、立体的なハンガーのおかげでタオルの内側同士がくっつきません。風が内側にまで届きやすく、洗濯物を早く乾かすことができます。また一般的な衣類のようにタオルを干すことができ、物干しの幅を取らないのもメリットです。

4.サーキュレーターが大活躍!


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室内干し・部屋干しで欠かせないのがサーキュレーター扇風機です。ピンチハンガー等に洗濯物を干したら、サーキュレーターを使って風をあてていきましょう。

この時、真横から風をあてるのではなく下側(斜め下あたり)から風を通すようにするのがポイント。衣類の内側によく風をあてることで、洗濯物の乾きを早くします。冬季にも乾燥機はしまわずに、部屋干し用に出しておくと良いですよ。

24時間稼働してもコスト安

サーキュレーターや扇風機は、風量最大で使用しても1時間あたりの電気代が1円程度しかかかりません。つまり一日中サーキュレーターで洗濯物を乾かしても、かかる電気代は20円前後。コストがほとんどかからない、節約志向の人にもおすすめの乾燥方法なのです。

 

5.ボトムスは円柱形ピンチで

ジーンズやスラックス等のボトムスは、洗濯するとなかなか乾きにくいですよね。これはパンツ型のボトムスは「筒」のようになっていて、空気が上手に通らないため。この問題を解決するには、円柱形のピンチが便利です。

立体的に干すのがコツ

ズボン型のボトムスは円形のピンチハンガーを使って複数部を止め、ウエスト部分と足の筒部分ができるだけ丸くなるような形に整えましょう。ウエスト部と足首部の両方から風が通るようにすることで、洗濯物の乾燥が早くなります。

裏返し&ポケット出しも大切

ジーンズ等のボトムス類は、ウエストから腰のあたりにポケットが集まっているため布が何層にもなっており、これが乾きにくさの原因となっています。

ポケットは必ず外側に出して干すか、ボトムス自体を裏返すようにして干すようにすると、ポケット部にも風が当たりやすくなり、洗濯物が早く乾きやすくなります。

 

7.エアコンハンガーを使ってみる


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締め切った部屋では特に洗濯物が乾きにくいもの。そんな時には、エアコンハンガーを使ってみるのも手です。

エアコンハンガーとは、エアコンに引っ掛けるようにして使う簡易物干しのこと。エアコンの風の吹出口のすぐ下に洗濯物が干せるため、エアコン稼働中であればスピーディーに洗濯物を乾かすことができます。

冷暖房にエアコンを使う人であれば、余計な電気代がかからないのも嬉しいポイント。特に在宅時間が長い人におすすめです。エアコンハンガーは安いものでは1,500円~2,000円前後で売っています。


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8.超特急なら「アイロン干し」

もっと早く洗濯物を乾かさないと間に合わない!でもランドリーに乾燥機に行く程の枚数ではない…こんな時には、アイロンを使って「超特急」で洗濯物を乾かしましょう。

やり方は湿っている状態の衣類を裏返しにして、「ドライ」の設定にしたアイロンをかけていくだけでOK。温度設定は衣類の素材に合わせたものを選んでください。

アイロンの高温が水分を蒸発させていくため、通常よりも素早く洗濯物を乾かすことができます。ただしこの方法はかなり長めにアイロンを使うため、電気代がかかりやすいのがデメリット。また衣類へのダメージも少なくはありません。

毎回使う方法ではなく「どうしても間に合わない!」という時の裏技として覚えておくと良いでしょう。

 

おわりに

洗濯物を早く乾かす8つの裏技はお役に立ちそうですか?これらの裏技のいくつかを組み合わせることで、洗濯物の乾きはさらに早くなります。

「タオルだけ長めに脱水して、干し方を気をつける」「サーキュレーターをフル稼働させておく」等等…毎日のちょっとした工夫で洗濯物はサッパリ早く乾くようになりますから、ぜひ意識して裏技を使ってみてくださいね。

タオルの黒ずみ・変色をスッキリ!落とし方と予防法

タオルの黒ずみ

ふと気づいたらタオルが黒ずんでいた、茶色っぽく色移りしていた…こんなことってありませんか?タオルは一度黒ずみが起きたり変色をすると、通常の洗濯を続けるだけでは元に戻りません。

状態によってはタオルの黒ずみがどんどんひどくなって、気持ちよく使えなくなってしまうこともあります。

早めにタオルの黒ずみ対策をして、スッキリと使える状態にしてみましょう。ここではタオルの黒ずみの落とし方や、今後の予防対策についても詳しく解説していきます。

タオルの黒ずみ・変色の原因は?

まずはタオルの黒ずみ・変色の原因を探っていきましょう。

汚れ・洗剤成分が溜まっている

意外と多い原因がこの「汚れ残り」や「洗剤成分」の蓄積です。「とにかく洗濯をしていれば汚れは落ちる!」と考えてしまいがちですが、正しい洗濯方法を守っていないとタオルのループ部等に汚れが溜まってしまいがち。

また多すぎる洗剤や柔軟剤の使用によって成分が蓄積し、これが黒ずみや変色の原因となることもあります。

色移りが起こっている

白いタオルや淡い色のタオルの場合、濃い色の衣類と洗うことで染料が移り、そこから黒ずみや変色が起きたかのように見えることがあります。「まだらのように色がおかしくなっている」という場合、色移りが起きている可能性も高いです。

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カビが発生している

汚れが長いこと蓄積している状態で、さらに「乾燥」が十分でではない状態が続くと、タオルに「カビ菌」が発生しやすくなります。ポツポツと水玉のように黒ずみが発生しているといった場合、黒カビが発生している可能性は高いと言えるでしょう。

 

タオルの黒ずみの落とし方その1:浸け置き洗い

浸け置き洗い

タオルの変色が初期の状態であれば、酸素系漂白剤を使った「浸け置き洗い」で黒ずみ・変色を落とせることもあります。ここでは酸素系漂白剤の中でも漂白・消毒力がより強い「粉タイプ」の漂白剤を使用します。

【用意するもの】

  • 酸素系漂白剤(粉タイプ)
  • バケツまたは洗面器(タオルが全部入る大きさのもの)
  • フタまたは食品用ラップ
  • 洗濯用洗剤

【タオルの黒ずみの落とし方の手順】

  1. お湯を沸かすか給湯器を使って、バケツに50℃程度のお湯を張ります。給湯器で50℃のお湯を入れられない場合には、バケツの1/3に沸騰したお湯を入れてから、同量の水を入れてみましょう。50℃前後のお湯を使うことで、酸素系漂白剤のパワーが最大限に発揮されます。
  2. 酸素系漂白剤をパッケージの説明書の使用量に従って入れます。通常、2リットルに対して大さじ1杯程度のことが多いです。
  3. タオルをバケツのお湯にしっかりと浸して、上からフタをします。フタ無い場合にはラップで代用してOKです。フタをすることでお湯の温度が下がるのを防ぎます。
  4. 30分~1時間程度放置します。30分程度放置した時点でお湯が冷めてしまっていたら、熱めのお湯を注ぎ足してあげるとさらに効果的です。
  5. キレイな水ですすぎを行います。
  6. 洗濯用洗剤を使って、洗濯機で仕上げ洗いをします。しっかりと脱水してから十分に乾燥させてください。

 

【注意点】

※1時間以上放置をするは止めましょう。タオルの色落ちの原因になります。

※金属の金具が付いているタオルや、シルクを使ったタオルなどには粉タイプの酸素系漂白剤は使用できません。変色・縮みの原因になります。パッケージの使用説明書をよく確認しましょう。

 

タオルの黒ずみの落とし方その2:煮沸消毒

煮沸

浸け置き洗いをしても変色が取り切れない、何度も再発する…このような場合には、煮沸消毒(しゃふつ・しょうどく)を行いましょう。

煮沸消毒とは、鍋を使ってグツグツと繊維や容器を煮て、殺菌をすることを言います。ここでは熱湯を使った煮沸消毒にさらに洗剤を加えて、漂白・洗浄力を上げた「煮洗(にあらい)」を行います。

※煮沸消毒を行うと、タオルのふんわりとした風合いが失われやすいです。ダメージを受けた繊維は元に戻りません。あくまでも作業は自己責任で行ってください。

【用意するもの】

  • 鍋(琺瑯またはステンレスで、タオルが入る大きさのもの)
  • 洗濯用洗剤
  • 酸素系漂白剤
  • トングまたは菜箸

【タオルの黒ずみの落とし方の手順】

  1. 鍋に水を入れて沸騰させ、水量に合わせた洗剤・酸素系漂白剤を投入します。入れすぎには注意してください。
  2. 鍋を火にかけたままで、タオルを全体的に漬け込みます。
  3. 一度お湯の温度が下がるので、沸騰状態になるまでは中火程度、沸騰したら弱火にします。
  4. 10分~15分程度、煮続けます。トングや菜箸を使って鍋の中のタオルを動かして、全体的に洗剤液が行き渡るようにしましょう。
  5. そのまま火を止めて冷ますか、トングを使って取り出してから水をあてて冷まします。
  6. 流水で軽くすすぎを行います。
  7. 洗濯用洗剤を使って、洗濯機で仕上げ洗いをします。その後、十分に乾燥させます。

【注意点】

※アルミ製の鍋、銅製や鉄製の鍋、ステンレス加工が剥げている鍋は使わないでください。酸素系漂白剤等のアルカリ性成分と反応して鍋が変色し、元に戻らなくなります。

※色の濃いタオル・柄物タオルは煮沸消毒をすると激しく色落ちをしてしまうことがあります。

※黒カビ等の繁殖状態が激しい場合には、煮沸消毒をしても黒ずみを落とせないことがあります。

 

タオルの黒ずみ・変色を予防しよう

タオルの黒ずみ・変色の落とし方でタオルをキレイにしても、何度も再発したり黒ずみやすい…これは普段の洗濯環境に問題があるからかもしれません。

これからタオルに黒ずみが出ることがないように、次のような予防対策を心がけましょう。

洗剤の量は適切に

「汚れを落とさなくては」と、洗濯洗剤や柔軟剤の量を増やしすぎていませんか?洗剤や柔軟剤は使用量が多すぎると「すすぎ」で落ちきらず、余分な成分が繊維に溜まってしまいます。

必ず水量または洗濯物の量に合わせた適切な使用量を守るようにしましょう。

1回の洗濯物の量を減らす

洗濯槽に対して洗濯物の量が多すぎると、タオルの汚れが十分に落ちません。洗濯槽にはギュウギュウに洗濯物を入れないこと。ゆとりを持った量を守りましょう。

脱水を多めにして水分を飛ばす

梅雨時等でタオルを部屋干しする時や、冬場のお天気が安定しない時等には、脱水の時間や回数を増やしましょう。

しっかりと脱水することで自然乾燥の時間をできるだけ短くして、カビ菌の発生を予防します。

部屋干しでは扇風機を加えて

タオルを部屋干しする場合には、下から扇風機やサーキュレーターで風をあてるようにしましょう。乾燥時間が短くなり、カビ菌の発生率が下がります。

洗濯槽のお手入れをしよう

私達の目には届かない「洗濯槽の外側」には、お手入れをしないと大量に水垢やカビ等が発生し付着しています。洗濯のたびにその汚れが洗濯物にうつり、カビ菌等の発生源となるのです。

洗濯槽クリーナー等を使用して、定期的にお手入れをしましょう。洗濯槽のお手入れ頻度は最低でも年に2回。半年以上お手入れをしていないという場合は、早めに洗濯槽の掃除をしてくださいね。

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おわりに

タオルの黒ずみや変色の落とし方はお役に立ちそうですか?タオルの黒ずみの原因となりやすい「黒カビ」は、一度発生すると取りにくく、発生範囲が広がりやすい厄介なカビでもあります。

黒カビが生えてしまったタオルを使い続けて他の衣類と一緒に洗濯を行うと、他の衣類に黒カビが発生してしまうことも。タオルの黒ずみの落とし方でも対処ができなかった…という場合には、残念ですが継続してのタオルの使用は避けることをおすすめします。

石油系溶剤とは?特徴は?よくある4つの疑問を解説

石油系溶剤と水の比較
石油系溶剤と水の比較実験

「石油系溶剤」という言葉を聞いたことがありますか?実は私達が普段使っているクリーニングサービス「ドライクリーニング」で使っている身近な溶剤なんです。

ここでは石油系溶剤について、その特徴やメリット、汚れ落としの特性等を詳しく解説していきます。

1.石油系溶剤とは何?

石油系溶剤とは、工業用に使われるガソリンの一種のこと。ガソリンと言うと「車や機械を動かすもの」という印象をお持ちの人が多いかもしれませんが、実は石油(ガソリン)はその他にも様々な用途で使われているんです。

  • 石油系溶剤1号(ベンジン):主に洗浄に使われる
  • 石油系溶剤2号(ゴム揮発油):塗料、ゴム用溶剤等に使われる
  • 石油系溶剤3号(大豆揮発油):抽出用に使われる
  • 石油系溶剤4号(ミネラルスピリット):塗料用、ペンキ等に用いられる
  • 石油系溶剤5号(クリーニングソルベント):ドライクリーニングや塗料に用いられる

ここでは石油系溶剤のうち、5号の「ドライクリーニング」に用いる溶剤について紹介していきます。クリーニング用の石油系溶剤は、石油ナフサという原料を蒸留して作り出した成分であることから「石油系」という名前が付けられています。

沸点は150~210℃で、人体に対して毒性が無いこと、刺激臭等がほぼ無い点が他の石油系との違いと言えます。また乾燥性が高く、自然乾燥に適しているのも特徴です。

「石油系溶剤とは?」をとてもカンタンにまとめれば、クリーニング屋さんで行うドライクリーニングに使う専用の溶剤、ということになります。「ドライクリーニング」と言われてもその内容をよくわかっていなかった人も多いかもしれませんね。ドライクリーニングとは極端に大雑把に言うと「石油で服を洗うクリーニング」なんです。

 

2.石油系溶剤を使うメリットとは?

石油系溶剤を使ったドライクリーニングは、クリーニング屋さんで行われるもっとも代表的なクリーニングの方法です。しかしそもそもなぜ、クリーニングに石油系溶剤を使うのでしょうか。

縮みや型崩れが比較的起きにくい

衣類の生地によっては、水濡れによって大幅な収縮が起きてしまうことがあります。例えばシルクウールカシミヤ等の動物製品が水濡れに弱く、縮みが起きやすいことは有名ですね。

水濡れによる収縮が起きやすい生地では、最大10%~15%という縮みが起き、これが型崩れの原因ともなってしまいます。着丈70センチの服が7センチも縮んでしまったら大変ですよね。

石油系溶剤を使ったクリーニングでは、水を使わないためにこのような激しい収縮が比較的起きにくいです。そのため、シルクやウール等のご家庭での水洗いに不向きな製品も、石油系溶剤ならばクリーニングすることができます。

色落ちが起きにくい

衣類の生地によっては、水を通すことで大幅に色落ちが起きてしまうことがあります。

変色レベルの色落ちではなくても、水を使って洗濯をするたびに色少しずつ色落ちして、本来の鮮やかな発色ではなくなってしまうことも多いです。

石油系溶剤を使ったドライクリーニングでは、水濡れによる色落ちが起きる心配が比較的少なめです。濃い色の衣類や発色の良さを大切にしたい衣類等のクリーニングに向いています。

衣類へのダメージが比較的少ない

石油系溶剤は他の溶剤に比べて油脂溶解力が比較的緩やかであり、衣類に対してのダメージが少なめです。

そのためデリケートな衣類のクリーニングにも適しています。

 

3.石油系溶剤で落ちる汚れ・落ちにくい汚れは?

衣類のシミや汚れには、水溶性汚れ・油溶性の汚れといった様々な種類があります。石油系の溶剤が得意とする汚れの種類はどんなものなのでしょうか。

油溶性の汚れ落としは得意

石油系溶剤は、上でも解説したとおり石油から生まれた工業系ガソリンの一種です。石油系溶剤を使ったドライクリーニングとは、極端に言えば「油で衣類を洗う」といったもの。そのため、油に溶けやすい性質を持つ「油溶性汚れ・油溶性のシミ」を落とすには、石油溶剤が向いています。

油溶性の汚れの例

・襟元・袖口等の皮脂汚れ
・油分の多い食べこぼし
・ファンデーションの汚れ
・口紅の汚れ 等

上記のような原因の汚れで、範囲が小さく、付いたばかりの汚れであれば、ドライクリーニングで全体洗い(機械洗い)をするだけでシミまで落ちることもあります。ただ汚れの範囲が直径2センチ以上と広かったり、付けてから時間が経っている場合には、石油系の溶剤を使った「シミ抜き」も追加で依頼をしておいた方が良いでしょう。

水溶性の汚れ落としは苦手

油溶性の汚れ落としは比較的得意な石油系溶剤。その反対に、水に溶けやすい性質を持つ「水溶性汚れ・水溶性のシミ」を落とすことはあまり得意ではありません。

水溶性汚れの例

・汗の汚れ
・コーヒーや紅茶のシミ
・ワインのシミ
・お酒のシミ
・おしっこのシミ 等

水溶性汚れの付いた衣類をドライクリーニング(機械による全体洗い)で洗うだけでは、汚れが完全に落ちることは期待できないでしょう。

例えば定期的にドライクリーニングをしていても、汗の成分は繊維に残って蓄積していることが多いものです。この成分が時間が経って変質すると、白い衣類を黄色っぽく変色させる「黄ばみ(黄変)」を起こします。

水溶性の汚れが付いている衣類は、別途「汗抜き」や「シミ抜き」等のメニューを追加した方が良いです。水溶性汚れの範囲が広い場合には、水を使った「ウェットクリーニング」を行えるクリーニング業者を選び、ウェットで洗ってもらいましょう。

ウェットクリーニング可能な宅配クリーニング

リネット
リナビス
せんたく便
クリコム
プラスキューブ
キレイナ

 

4.石油系溶剤は家庭でも使える?

結論から言いますと、石油系溶剤は家庭では絶対に使えません。また個人ではなく企業であっても、きちんと法律に則って許可を取っている「クリーニング店」しか、石油系溶剤を扱うことはできないのです。

石油系溶剤は、消防法の危険物第4類に含まれる「危険物」です。「引火点が38℃~42℃」という性質は、つまり火事を起こしやすい非常に危険な物質ということ。クリーニング店の場合、洗浄温度は絶対に35℃以下に抑えつつ、タンブラーには爆発を防止するための防爆装置を取り付けることも必須とされています。

さらに帯電による爆発・火災等の恐れもあるため、帯電防止剤・スチーム等を使って対策をしていかなくてはなりません。クリーニング店やクリーニング工場にあるドライクリーニング用の洗濯機は、このような対策がなされた「石油系溶剤専用」の機械なのです。

さらに、洗浄のために使った石油系溶剤は、水のように下水に流すこともできません。きちんと専用の業者さんがクリーニング店に来て、使用済み溶剤を回収しています。これらは全て「クリーニング業法」という法律でも定められているんですよ。

ですから残念ながら石油系溶剤は一般家庭では購入もできませんし、扱うこともできません。石油系溶剤を使ったドライクリーニングは、クリーニング専門店に依頼しましょう。

 

5.石油系溶剤と「ドライ用洗剤」は違うの?

洗濯機の「ドライ洗い(ドライコース)」や「ドライ用洗剤」と呼ばれる洗剤があるため、「ドライクリーニングは家でもできる」と誤解してしまう人が多いようです。

一般家庭の洗濯機の「ドライ洗い」とは、「ドライクリーニングを使うようなデリケートな衣類も洗える、洗濯機でソフトに水洗いするコース」のこと。また「ドライ用洗剤」も同様で「縮みやすいデリケートな衣類向けの中性洗剤」のことです。

どちらも水を使う通常の洗濯法であって、石油系溶剤を使う「ドライクリーニング」とはまったく違います。

また一般の洗濯機の「ドライコース」や「ドライ洗い洗剤」であっても「水洗い不可」とされている衣類はご家庭では洗うことができません。この点も誤解が起きやすいので、十分にご注意ください。

 

おわりに

石油系溶剤の特性を知っておけば、ドライクリーニングサービスも上手に使いこなすことができますね。「この服はデリケートだから、クリーニング店で石油系溶剤で洗ってもらおう」「こちらは中性洗剤で手洗いしよう」等、うまく使い分けをして洋服のキレイな状態をながもちさせましょう!