ベンジンとは、原油から精製した可燃性の高い揮発油のことです。燃料・溶剤として使用される他、油を溶解させる機能があるために業務用及び家庭用で「染み抜き剤」として使用されます。
ここではベンジンの染み抜き方法や、注意点、メリット・デメリットについて解説していきましょう。
ベンジンに向いているシミって?
ベンジンは「油」を溶解させる効果を持っています。そのため油分・脂肪分の多い油溶性のシミ、水・お湯・通常洗濯では落としにくい以下のようなシミに効果を発揮してくれます。
ベンジンの使い方
- シミの裏側にタオルをあてておきます。
- もう一枚のタオルにベンジンを染み込ませ、シミ部分を軽く叩きます。
- ベンジンでシミが溶け出しタオルで叩いた部分に移るので、タオルの常にきれいな部分が接触するようにし、タオルにシミを移し取っていきます。
- シミが目立たなくなったらベンジンを少量タオルに染み込ませて、シミ周辺部を内側に向かって軽く叩き、輪郭が目立たないようにぼかします。
- 水洗いできる製品の場合には、通常洗濯で仕上げます。水洗い不可製品の場合にはそのままよく乾燥させます。
ベンジン使用時の注意点
⚠ 換気は絶対行う
ベンジンは揮発性が高く、作業中にもその成分(ガス)は空気中にどんどん散布されていきます。密閉された空間でベンジンを扱うとガスを吸い込むことになり危険です。必ず窓を開けて換気扇を回し、通気性の良い部屋で作業を行いましょう。
⚠ 火気厳禁
ベンジンは引火性が高く、ガスが充満した場所では少しの火でも大きな火災となる恐れがあります。ベンジン作業中はライター・マッチ・ガスコンロ・暖房器具の使用は絶対NGです。
⚠ 染み抜きには精製度の高いものを
ベンジンの価格は1リットル600円~1200円程度と価格にバラつきがありますが、品質の良くないものだと生地を傷めてしまう恐れがあります。精製度の高い良質なものを購入した方が安心です。
⚠ 色移りテストは必ず行う
ベンジンの使用は染色・生地によっては多大な色落ちや色抜けを起こす可能性があります。必ず衣類の目立たない部分で一度少量のベンジンを使った色移りテストを行い、色移りが見られる場合には使用を中止しましょう。
⚠ マスク・手袋を着用する
ベンジンは危険物であり、顔や体に触れると手荒れ・炎症を起こす可能性も考えられます。マスクや手袋・メガネを使用し皮膚を保護した状態で使用することをおすすめします。
ベンジンのメリット
水濡れ不可の製品に使える
ベンジンは揮発性が高くすぐに乾く油であるため、水洗いできない衣類、水濡れ不可の製品の染み抜きに利用できます。特に着物等の手軽に洗えない衣類には重宝する染み抜き剤です。
ガンコなシミを溶解する
溶解力が強く、塗料が固まった状態のシミ、油分によってコーティングされてしまったシミ等のガンコなシミを溶解してくれます。
ベンジンのデメリット
こすると色落ち・色ハゲが起こる
ベンジンは溶解力が強い分、タオル・歯ブラシ・コットン等で強く擦ると衣類の染料も一緒に色落ちさせてしまいます。
作業はあくまでも優しく行いましょう。
作業に時間がかかる
ベンジンでの作業は「少しずつ溶かして、タオルに汚れを移しとる」という方式です。
洗剤のように汚れを流し落とせないため、作業には時間がかかります。生地を傷めないためにも、作業には時間的に余裕を持って行うことが大切です。
慣れないと輪染みにしてしまいやすい
ベンジン作業に慣れない人が染み抜きを行うと、ベンジンを塗った部分とそうでない部分にクッキリとした輪郭(輪染み)が生まれてしまうことがあります。輪郭を丁寧にぼかし、輪染みにならないように気をつけましょう。
おすすめベンジン
アルプスベンヂン
・商品サイズ (幅×奥行×高さ) :50mm×50mm×110mm
・原産国:日本
・内容量:100ml
タカビシ化学 特製ベンジン
・商品サイズ (幅×奥行×高さ) :66mm×66mm×202mm
・原産国:日本
・内容量:500ml
おわりに
油分の多いガンコなシミや水洗いできない製品に効力を発揮してくれる「ベンジン」。
でも使い方を誤ってしまうと大切な衣類がダメになってしまうこともあります。
難易度の高いアイテムであるため、ベンジンを使用する場合には普段着等で染み抜きの練習をされた方が良いでしょう。
特に着物類やシルク等の高級衣類にガンコなシミを発見して無理にベンジンに初挑戦し、失敗してしまうというケースは少なくありません。不安な場合には無理に自己処理をするよりも、クリーニング専門店に依頼をした方が安心です。